髪の毛をわし掴まれたポリ ペプチド。
「……いっ!」
声をあげるが止まればどんな目に遭うかわかか亜鉛 サプリらない。ぶちぶちと引き抜かれる音にまかせてミモザは走り続ける。
「はぁっ、はぁ……っ」
また石が飛んできて足や背中、肩などに当たる。
「……あっ!」
ちょうど踏み出した足に投げられた石があたり、ミモザは転んでしまった。手に持ゴーヤっていたランチボックスが地面に転がる。
ミモザは地べたに座り込んだまま周囲を見渡した。お昼時のせいかみんな家にこもっているのか、それとも畑へと出かけてしまっているのか、人影がない。
(誰か……!)
叫びたくても声が出ない。恐怖のせいだ。ミモザは弱い。前回は完全に身構えており、やることをあらかじめ決めていたからなんとかなったが、ゴーヤ チャンプルーふいに訪れた恐怖に恐慌状態に陥っていた。
「やっと捕まえたぞ」
びくりと身を震わせる。振り返るとアベルが怒りに目を燃やして立っている。
「てめぇ、この間はよくもやってくれたな!」
そのまま至近距離から手に持っていた石をミモザへ叩きつける。
「……っ!」
鋭く尖った石はミモザの目の上あたりへとあたり、皮膚を切って血が流れた。
「なんとか言えよ!お前のせいで俺たちは全部めちゃくちゃだ!」
ミモザのせいではない。自業自得だと言いたいのに、ミモザの喉は震えた呼吸をか細く吐き出すばかりで声が出ない。
学校生活の数年間でミモザの中に植え付けられた恐怖がミモザの身体を動かな亜鉛 サプリ おすすめくしていた。
そこからはもうリンチだった。4人に囲まれて石を延々と投げつけられる。
ミモザは頭を守ってうずくまるしかできない。
ミモザの前方に家があった。声をあげれば届きそうなのに届かない。誰か出てきてくれないかと願うがそんなに都合の良いことは起こらない。
いつだってそうだった。いままでずっと。
閉じられた教室の中で誰も助けてくれなかったように、今も誰も助けてくれない。
変わったつもりだったのに、ミモザは何も変わらずうずくまるしかできない。
(誰か)
手を地面へと這わせる。何かに縋りつきたい。
(誰か来て……っ)
気づいて欲しい。ミモザの存在に。
涙で歪んだ視界に、転がるランチボックスがうつった。
守らなきゃ、漠然と思う。これを届けなければいけない。だってあの人亜鉛 の サプリが待っている。
ミモザを無価値ではないと初めて言ってくれた人がお腹を空かせて待っている。
「レオン様……」
「え?」
異母兄の名前にアベルの手が思わずというように止まる。弾幕のように飛んできていた石が一瞬止まり、その隙にミモザは地面の石を掴んだ。
「な、なんだよ……」
そのまま手を振り上げたミモザに怯むようにアベルは後退る。
そのアベルを無視して背中を向けるとミモザは石を投げつけた。
前方に見える、家の窓へと向かって。
ガシャンッ、と派手な音と共にガラスが割れる。
「……なっ!」
「こらぁ!クソガキども!何してくれやがる!!」
家主の男は窓の割れた音に家の奥から姿を現し、状況を見て取って怒鳴った。
。亜鉛 サプリ おすすめクロムサプリメント マカ
分類: 未分類
「疲れた……」 亜鉛
「疲れた……」
よろよろとミモザはレオンハルト邸の扉を開けた。
なんだか色々dha epaと濃い時間を過ごしてしまった。
とりあえず顔亜鉛に塗りたくった染料は泳いでいる間に落ちたが、可能ならお風呂に入ってすっきりしたいところである。
(まずはお風呂、次に何か飲んで、ベッドで寝る)
やりたいことを夢想しながらふらふら歩アントシアニンの効果いていると、
「ミモザ」
背後から声がかけられた。
「レオン様」
今は流石に修行する気にはなれないなと思いつつ振り返ると、彼のそばには白い軍服に身を包んだ教会騎士が立っていた。
嫌な予感がする。猛烈に。
そしてそんな予感ほどよく当たるものである。
「ちょうどいいところに帰ってきたな。これから教会に一緒に来てくれ」
「え亜鉛 サプリっと、何があったんですか?」
恐る恐るミモザは尋ねる。それにレオンハルトはいかにも不愉快といった表情で答えた。
「ジーン君とマシュー君が失踪した。おそらくは君の姉、ステラ君のもとにいる」
ミモザはあんぐりと口を開けた。
「皆さんお聞き及びかとは思いますが、先だっての精神汚染事件の被害者であるジーン君とマシュー君の二名が失踪しました」
そうオルタンシアは重々しく口を開いた。
場所はいつも通りのオルタンシア教皇の執務室である。もはや恒例かと思われゴーヤ チャンプルーるメンバーがそこには揃っていた。すなわち、ミモザ、レオンハルト、ガブリエル、フレイヤである。
「それと同時に、彼らと思しき人物がステラ君と思しき人物と連れ立って歩いている姿が目撃されています。証言では彼らはとても仲睦まじそうな様子だったとのことです」
ダンッと壁を叩く音がした。フレイヤだ。
彼女は悔しげな顔で嘆いた。
「ジーン! あれほど変な物は食べないようにと言ったのに!」
「妙だな」
「ええ、妙な話です」
ガブリエル、オルタンシア両名はそれに冷静に告げる。
「一度目はともかく、二度目です。彼らも馬鹿じゃない。差し出されたものを食べるとは思えません」
「何か別の手法で摂取させられたということですか」
レオンハルトの問いに、
「その可能性が高いでしょう」亜鉛の効果
オルタンシアは頷いた。
(別の手法……)
ミモザは考える。
(一体どんな?)
あれは経口摂取以外の方法がないと前回の時にオルタンシアから聞いていた。それもそこそこの量を取らなければならない。そのためにバーナードは飴という形で砂糖で味を誤魔化して食べやすくしたのだろうとのことだった。
「何にせよ、このまま放っておくわけにはいきません」
「俺が行きましょう」
その言葉にレオンハルトが前に進み出た。
金色の瞳が、静かにオルタンシアを見つめる。
「確実に捕えるために」
「……そうですねぇ」
「僕にも行かせてください!!」
決まりかけそうな気配に、慌ててミモザは挙手して訴え出た。
姉の関わることで除け者になるなどごめんだ。
(それになにより)
ミモザはレオンハルトのことを心配げに見上げる。
ここで何もせず、万が一のことがあっては悔やむに悔やみきれない。
レオンハルトが戸惑うように彼女を見た。
「ミモザアントシアニンの効果、しかし……」
「僕にも行かせてください。必ずお役に立って見せます」
じっと確かめるように金色の瞳がミモザを見下ろす。それに負けじとミモザは見返した。
しばらく二人は見つめ合う。それは根比べにも似ていた。
「………いいだろう」
諦めたように先に目を逸らしたのはレオンハルトだった。彼はふぅ、と息をつく。
「レオン様!」
「ただし」
喜びに口元を緩めるミモザにレオンハルトは釘を刺す。
「俺の指示に従ってもらう。君のことだから大丈夫だとは思うが……」
「はい」
レオンハルトの言いたいことを察して、ミモザは静かに頷いた。
「貴方の指示に従います。足は引っ張りません」
「よし」
レオンハルトは弟子の物分かりの良さに満足げに頷くとオルタンシアの方を向いて「我々で対応します」と告げた。
それにオルタンシアが頷く前に、ずいっと割り込む人影がある。フレイヤだ。
彼女は堂々とその豊かな胸を張ると「当然だけど、わたくしも行くわ」と宣言した。
「オルタンシア様」
そして銀色の目を細めてオルタンシアに問いかける。
「洗脳を解く方法は、薬が自然に排出される以外にないのですか?」dha
「そうですねぇ」
それは重要な質問だった。オルタンシアは難しい表情で記憶を探るように目を瞑る。
「……目には目を、歯には歯を、精神には精神を。強い精神的ショックを与えれば目を覚ます例があったと書物には書いてありましたね」
「わかったわ! 精神的ショックね!」
フレイヤはその情報に鼻息荒く頷く。
(精神的ショックかぁ……)
色々とやりようがありそうだな、とミモザも一つ納得するように頷いた。
。dha epadhaマカ と は
まだ朝の早亜鉛
まだ朝の早い時間、ステラ達は塔を目指して歩いていた。
何ゴーヤ故こんなに朝早いのか。それは人目を避けるためだ。
ステラクロムの効能達は今、警官から目をつけられている。ステラとしてはこそこそとするような真似は業腹だが、またうるさく絡まれるよりは遥かにましだった。
「次は第5の塔ね」
ステラが歌うように告げる。それに着いて歩いていた面々はそれぞれの反応を返した。
「そうだね」とdhaマシュー。
「楽しみですね」とジーン。
「……………」
アベルだけは無表情で何も言わなかった。
(困ったわね)
それにステラは眉を寄せる。
ステラの『毒』は、何故だかアベルにだけはうまく効かなかったのだ。
けれど彼は反抗する気もないらしい。仕方なくステラは彼のことをそのまま連れ歩いていた。
ステラの新たに目覚めた能力。それは『毒』属性だった。
ティアラが傷つ亜鉛 の サプリけた者にその毒は感染する。それはラブドロップと全く同じ効果をもって作用した。
ステラは自分の肩でくつろぐティアラを見る。その瞳は、青い。
それはステラが幻術を見せる機能のあるネックレスで隠しているからだった。
(狂化って言うのよね)
ステラは思い出す。確か前回のミモザがなっていたものだ。
狂化したミモザは狂化する前よりも確かに使える技が多彩で強くなっていたと記憶している。
そう、今回のミモザのように。
(今回も狂化しているのかしら?)
けれどミモザもチロも目は紅くない。しかし現にステラが幻術で誤魔化しているのだ。ミモザが誤魔化していdha epaない保証はない。
狂化は国や教会で取り締まりの対象になっているが、どうしてだろうとステラは思う。
(こんなに解放的で素晴らしいのに)
こんなに気分がいいのは久しぶりだ。
ステラはスキップをするように歩いていた。
それはあともう少しで塔に着くという頃に起こった。
「………ん?」
マシューが立ち止まる。
「どうしたの?」
「いや、なんか音が」
言われて耳をすましてみると、確かに音が聞こえる。本当に微かだが、これはーー
「鈴の音……?」
四人は顔を見合わせる。
「野良精霊か?」
アベルの問いに
「いえ、もしかしたら野良精霊に襲われている人が助けを求めているのかも知れません」
とジーンが応じる。
確かに盗賊や精霊に襲われた時に助けを求めるたdha epaめにベルや鈴などを携帯するというやり方は、かなり古い方法だがなくはない。
最近ではブザーの鳴る魔道具が主流だが、費用を抑えるために鈴を携帯する人も一定数はいた。
「行きましょう」
ステラは頷くと、そっと茂みの中へと分け入った。
鈴の音は段々と近づいてきていた。移動している気配がないため、もしかしたらもう持ち主は事切れており鈴だけが風に揺れているのかも知れない、とステラは思う。
(遺品だけでも持ち帰ってあげましょう)
そう思いながら草をかき分けて進み、
「…………え?」
ステラはそこで、自分に瓜二つの少女の姿を見た。
白と藍色のワンピースが風にひるがえっていた。
彼女は短い金色の髪を風に揺らしながら、両手に鈴を持って優雅に踊る。くるくると回る動きに合わせて、スカートはふわりと広がり、鈴がしゃらんと涼やかな音を奏でた。
湖のように静謐な、青い瞳がこちらを見る。
視線が合った。
「ようこそ」
ワンピースの少女、ミモザは踊るのをアントシアニンの効果やめてこちらを振り返った。
その瞳が微笑む。
「引っかかったね、お姉ちゃん」
「………っ!!」
とっさにステラはレイピアを構える。間髪おかず、氷の破片を放つ。
しかしそれはミモザに辿り着く前に炎の斬撃に阻まれた。
ゆっくりと、ミモザの隣に男が立つ。
藍色の長い豊かな髪、黄金に輝く意志の強い左目、白い軍服を身にまとった美丈夫な男だ。
鋼のような強さで、彼の視線がこちらを射抜いた。
「レオンハルト様……」
思わず後退る。しかしその背後で足音がした。振り返るとそこには、
「先生!!」
ジーンが声を上げる。その言葉の通り、銀色の髪の麗人、フレイヤが立っていた。
「俺もいるぜーぃ」
へらりと笑ってガブリエルがジェーンを伴ってその隣に並ぶ。
「ジェーンさん、どうして……」
マシューが苦しそうにうめいた。
四人は挟み討ちにされていた。
「愛の逃避行はここまでだよ。ここから先は……」
ミモザは苦笑する。
「反省会、だよ」
ステラは忌々しげに妹のことを睨んだ。
(さて、)
ミモザは状況を見回した。
挟み討ちには成功した。あとは人質達をどう解放するかである。
(とはいえやっぱり、洗脳されてるっぽいな)アントシアニンの効果
マシューもジーンも、こちらを敵のように睨んでいる。
ミモザは落ち着かなげにスカートを揺らす。慣れない格好はするものではないな、と思った。
足がスースーする。
このワンピースは以前王都に来たばかりの頃、12歳の時にレオンハルトに買ってもらったものである。とはいえ今のミモザでは当然体格が合わず着れなかったのでリメイクしてもらったものだ。
元々は白いワンピースだったものを、内側に藍色のワンピースを重ねるようなデザインにしてリメイクしてもらっている。藍色のワンピースの部分を今のミモザの体格に合わせているので足りない丈の分、藍色のレースのついたプリーツスカートが白いワンピース部分からはみ出て見え隠れしているのが可愛らしい。肩の部分も今のミモザが着れるように広げるついでに、縫い目を誤魔化すためか藍色のリボンやコサージュでカバーされていた。
「お姉ちゃん」
ミモザは声をかける。ステラはきつく睨んできた。
「自首をお勧めするよ」
「自首をしなくちゃいけないような理由はないの」
ステラは一転して、にこりと微笑む。
「ミモザ、どうしてお姉ちゃんの邪魔をするの?」
「………邪魔じゃないよ。仕事のお手伝い」
「仕事」
「そう、仕事」
ミモザはなんと言えばいいかを悩む。なんと言っても意味などないのかも知れないが、だからと言って悩まないのは難しい。
「犯罪がいけないのは、それを許しちゃうと社会ゴーヤが混乱するからだよ」
結局ミモザは月並みな言葉を吐いた。
「例外を出来る限り作らないのは、それをしちゃうと人と社会を信用できなくなっちゃうからなんだよ、お姉ちゃん」
たぶん伝わらないだろうなと思う。伝わってほしい気持ちはある。
「貴方をルールの例外にする理由はどこにもないんだ」
けれど虚しさの方がどうしても勝る。この理屈の通じない動物に話しかけているような空虚感はどこからくるのだろうか。
獰猛な肉食獣に自ら首輪をつけてくれと説得したってきっと無意味なのだ。
「わからないわ」
ステラは微笑んだ。
(ほら、無意味だった)
ミモザは力無く笑う。
「可哀想な人がいるの。みんなが幸せになる道がわたしには見えるの。ねぇ、ミモザ」
ステラは笑う。花のように美しく、完璧な微笑みだ。
「貴方も知っているでしょう? みんなが幸せに笑っている未来。一度目の人生。すべてが満たされていたの。完璧だった」
そこで彼女のサファイアの瞳はレオンハルトを見た。
「ある人の死、以外は」
「それって僕のこと?」
違うとわかっていてあえてミモザは聞いた。苦笑する。きっと彼女には些末ごとだったのだろう。
ミモザの苦悩も死も。
「ああ、そうだったわね。あなたも死んだんだっけ」
遠い何かを思い出すように彼女は言った。
「あなたも生きていていいのよ。わたしの邪魔をしなければ」
「……それは無理かな。きっと僕の欲望とお姉ちゃんの欲望は共存できない」
「そう、なら……」
ステラは残念そうに、けれどあっさりと言った。
「死んで亜鉛 サプリ おすすめ?」
レイピアを向けられる。ミモザはチロをメイスに変えようとして、
「待ってください」
横槍が入った。姉妹の青い瞳が声の主を振り返る。それはジーンだった。
彼はその視線に苦笑すると、「僕に任せてください」とステラを庇うように前に進み出た。
「ジーンくん……」
「ステラさんは危ないので後ろへ」
彼は紳士的に微笑んだ。そしてミモザへと向き直ると、真っ直ぐに剣を向ける。
「ミモザさん、勝負です」
「……いいでしょう」
ミモザは不敵に微笑んだ。
「勝てるものなら勝って見せてください」
ミモザには、対ジーン用の秘策があった。
。マカ サプリアントシアニンの効果クロムゴーヤ チャンプルー
記者達がすし詰亜鉛 サプリ おすすめ
記者達がすし詰め状態になりながらも、その姿を絵と文字に写すために必死に筆を走らせていたアントシアニンの効果。その中心にいるのはオルタンシア教皇聖下とレオン亜鉛 サプリ おすすめハルトである。
ここは中央教会の中庭である。ミモザはその光景を教会の回廊の柱の陰からこっそりと覗いていた。
あの時、決着は一瞬でついた。
ロランの雷とレオンハルトの炎のぶつかった光が収まると、そこに立っているのはレオゴーヤ チャンプルーンハルトであった。
「うぐぅ……」
ロランは苦しげにうめきながら、しかしまだ抗おうとなんとか手で地面をつかみ、膝を立てる。
「やめておけ」
レオンハルトはそんな彼に近づくとその首筋へと刃を突きつけた。
「そのていたらくでは抵抗するだけ無駄だ。貴方には色々と聞きたいことがある。ご同行願おう」
その瞬間、ロランはニヤリと笑い自分の胸元へと手を伸ばし、ーーその手をレオンハルサプリメント マカトに蹴りつけられて仰向けに転がった。
すかさずそれ以上動けないようにレオンハルトがロランのことを押さえ、胸元を探る。
「レオン様」
「どうやら自爆装置のようだな。小規模だが爆発物が仕掛けられている」
息を呑む。すぐにレオンハルトはその装置の動力と思しき魔導石を取り除き、ロランを昏倒させた。
「よくやった、ミモザ。謎の多い保護研究会の一員を捕獲できたのは大きな収穫だ」
「死傷者はその方を除けば0名です」
「素晴らしい」
レオンハルトが立ち上がる。褒めるようにミモザの肩を叩いた。ミモザは先ほどまで背にかばっていた3人を振り返アントシアニンの効果る。3人とも惚けたような、本当に終わったのか疑うような表情で立っていた。
ミモザも同じ気分だった。
そして本日、いろいろな事について世間への報告が一通り済み、後始末が終わったあとで会談が行われることになった。
一体誰と誰の会談か。答えは簡単だ。
教皇聖下ならびにレオンハルトと被害者遺族の会の代表との会談である。
今はその前座として、彼らはレオンハルトの用意した『ある物』を見に来ていた。
「これは……」
その『ある物』を見て、ジェーンはそれ以上何も言えずに立ち止まる。
レオンハルトは風を切って歩くと、その『ある物』の目の前でかしずいた。
それは慰霊碑だった。巨大な白い大理石が天高く伸び、そこには細かく何事かが刻まれている。よくよく見るとそれは人の名前のようだった。数えポリ ペプチドきれないほどの数の人の名前が刻まれ、そして少しの空白の後、その勇敢さを讃えると共に安らかな眠りを祈る言葉でその文字列は締め括られていた。
塔の試練で命を落とした者たちの名前が刻まれているのだ。
レオンハルトは慰霊碑へと向かい何事かを静かに伝え、そして手に持っていた白百合の花束をそこへ丁寧に供えた。
そうして立ち上がるとジェーンを振り返る。
「どうかジェーン様もこちらへ。…手を合わせていただけませんか」
「これは……、これは、どういう……」
「申し訳ありません」
神妙な顔でレオンハルトは謝罪した。
「彼らは俺の救えなかった方々です。魂を鎮めるために、そして俺の力不足を忘れないために、名を刻ませていただきました」
力無く首を横に振る。
「彼らは本当なら、今頃俺たちの同僚となっていたはずの勇敢な騎士達です」
その言葉にジェーンは、ハッと顔を上げた。レオンハルトの方を見ると、彼は悔しげな表情を隠すようにうつむく。
「彼らの死を、悔しく思います。もクロムちろんエリザさん、……貴方の娘さんの死も」
「ああ……っ!」
ぼろぼろとジェーンは涙を流した。その口は小さく動き、「エリザ、エリザ」と娘の名を呼んでいるのがわかる。その泣き崩れる背中をレオンハルトは無言で支えた。
長い時がかかり、やっとジェーンは顔を上げた。その目は真っ赤に腫れている。その間ずっと急かすこともなく背を支えていたレオンハルトに手を取ってもらい、彼女はやっとのことでその慰霊碑の前へとたどり着いた。そのままゆっくりとうずくまるようにこうべを垂れる。その手は合わされ、祈りを捧げていた。
「ありがとうございます、レオンハルト様」
やがて、ぽつりと声が落とされた。
「ありがとうございます。ありがとう、ごめんなさい、ごめんなさい……」
再び泣き崩れるジェーンのことを、報道陣からかばうようにレオンハルトが肩を支え、教会の中へと導いた。
その様子をしっかりと記者達は絵に描き、文字に起こしているようだった。
「たいしたパフォーマンスだね」
ふいにミモザに話しかけてくる声があった。振り返った先にいたのは新緑の髪に深い森の緑の瞳を持つ青年、マシューだった。
「ええと…」
「マシューだよ」
「マシュー様」
ミモザのそんな様子マカ と はに諦めたようにため息をつき、「別にいいけどね、緊急事態だったし、僕は裏方だし?」とマシューはぶちぶちと言う。
一通り愚痴って満足したのか、こちらを真っ直ぐに見つめると、彼は頭を下げた。
「申し訳なかった」
「あの…?」
「やり方についての指摘はごもっともだった。あれは最低な行為だ。今後はもうしない」
「してもいいですよ、別に。言ったでしょう、僕も悪いことをする人間です」
「しない。もうそう決めたんだ」
何かを切り捨てたような顔で彼は言った。何かを失ったようなのに、その表情はどこか清々しい。
「でも塔の運用に関しては、もっと改良できると思ってる。だからこれからも活動はするよ。今度は正攻法で、もっと視野を広げた現実的な案を模索する」
「……はぁ」
正直それを自分に言われても、とミモザは困る。眉を寄せるミモザのことをマシューは軽く睨んだ。
「でもまぁ、あんたも大概酷かったから、お互い様だとは思ってるよ」
「そうですか」
はぁ、とマシューはため息をついた。
「あんた、つくづく俺に興味ないのな。まぁいいや」
じゃあな、とマシューは踵を返す。ジェーンの元に向かうのだろう。彼は作戦参謀のはずだ。
ああ、と言い忘れたことがあることに気がついて、ミモザは「マシュー様!」と呼び止めた。
「パフォーマンスじゃありませんよ」
「え?」
「さっきの」
慰霊碑を示してみせる。
「あれは儀式です亜鉛 サプリ おすすめ。ご家族の死に向き合うための」
本当にあれで向き合えたかどうかは知らないが、それなりに効果のありそうな反応ではあった。
マシューはミモザの言葉にわずかに目を見張ると、「そうかよ」と頷いた。
「なら、俺もあとで拝んでやってもいいかもな」
「ぜひ、どうぞ」
ミモザは微笑んだ。
「他の仲間の方々もぜひ、ご一緒にお越しください」
教会の中庭にある慰霊碑だ。訪れるだけで自然と交流が生まれるだろう。
人は『顔見知り』には優しくなるものである。
これは教会と被害者遺族の会が『なあなあな関係』になる足がかりになるだろう。
*
「なに?」
その報告にレオンハルトは不機嫌そうに眉をしかめた。報告に来た騎士はびくりと身を震わせる。
「それは確かなのですか?」
「は、はい!」
オルタンシア教皇の問いかけに、彼は頷く。
「今朝未明、保護研究会過激派の幹部を名乗る老人の姿が、牢の中から忽然と消えました。おそらく……」
騎士は緊張と畏怖でひりつく口内を少しでも潤すように唾を一つ飲み込んだ。
「脱獄したものと思われます」
その瞬間放たれたレオンハルトの威圧感と怒気に、年若い騎士は失神してしまいたいと切に願った。
。亜鉛アントシアニンアントシアニンアントシアニンの効果
それが起こったのゴーヤ
それが起こったのは、ある意味必然であったのかも知れ亜鉛 サプリない。なにせゴーヤ予兆はあり過ぎるほどにあった。
しかしすべての災難は最悪なことに同時に訪れたのだ。
「どういうことです?」
「そのままですよ。困ったことになりました」
連絡を受けてかけつけたレオンハルトとミモザに、沈痛アントシアニンの効果そうに額に手を当ててオルタンシアは言った。
「立てこもり事件と野良精霊の大量発生が同時に起きました」
息を飲む。二の句が継げないミモザに代わり、レオンハルトは「立てこもり事件というのは?」と尋ねた。それに教皇は無言である手紙を差し出す。それはとても丁寧な犯行声明であった。
『第4の塔に長期滞在致します。大人7名、子ども3名、計1ゴーヤ0名にて実施いたします。試練の塔被害者遺族の会』
「閉鎖しないのならば立てこもりを止める権利はない、といいたいのでしょう。まぁ実際、入場資格のある者が何日間滞在しようと規制するルールは存在しません」
「いや、大人はともかく子どもはだめってルールだったはずでしょう」
ガブリエルがうめく。それにオルタンシアは力なく首を横に振った。
「入場管理を担っている人間を脅しつけて無理矢理入ったようです。厄介なのはここで彼らに死者でも出ようものならこちらの管理責任が問われることです」
「なぜ急にやり方を変えたの亜鉛 サプリでしょう?」
フレイヤが尋ねる。確かに、コラムを書いて人々の同情を引こうという最初の手段からは、随分とかけ離れた強引な方法であった。
「先日の…、レオンハルト君の件が効いているのかも知れません。彼女はレオンハルト君を取り込むのに失敗しましたから」
「それにしてもあまりにも手段のベクトルが違いすぎる」
レオンハルトの訝るような言葉にミモザも無言で頷いた。最初の戦略はなんとも慎重で自分たちに利があるように上手く立ち回っている印象だったが、今回の件はあまりに強引すぎておそらく被害者遺族の会に世間はマイナスのイメージしか抱かないだろう。
「仲間割れ、でしょうか?」
首をひねるミモザに、レオンハルトは「そうだな」と思案した。
「少なくともジェーンを影で操ろうという人間が2人以上はいるのかもしれない。彼らはそれぞれ意dha思の連携ができていないか、片方が功を焦りすぎたか」
「どちらにしろ重要なのは、このような自分自身を人質として盾にするようなテロリズムに我々は屈するわけにはいかないということと……」
オルタンシアは首を振る。
「野良精霊の討伐のほうが優先事項であるということです」
確かに自らの意思で危険に飛び込んだ者と、なんの落ち度もないのに危ない目に遭いそうな者ならば、後者が優先して守られるべきだろう。
「野良精霊の方に王国騎士団、塔の方に教会騎士団で分担してーー」
「というわけにもいかないのです」
オルタンシアは眉間を押さえる。
「現在だけでも野良精霊の被害が10ヶ所以上で報告されていて数は増える一方です。両騎士団一斉にことにあたっても被害をすべて食い止められるかどうか……」
レオンハルトも難しい顔で腕を組んで考え込んでいる。ミモザはちらりと教皇の執務机の上を覗き見た。王都周辺の地図に赤い印がばらばらと点在している。これら全てがアントシアニン野良精霊の大量発生箇所だとしたら、確かにとても人手が足りないだろう。
「ミモザ君、行ってくれませんか?」
ふいに声が響いた。オルタンシアからの急な名指しにびくりと震える。
「え?」
その顔をまじまじと見つめるが、彼は真剣な表情を崩さない。
「両騎士団長は指示を出さねばなりませんから言わずもがな、レオンハルト君の戦力は野良精霊の方に必要ですし、英雄がテロリストの命を優先することははばかられます。しかし彼らを放置するわけにはいかない。ですから塔の方はミモザ君、君に任せられませんか?」
「……それしかないか」
レオンハルトも難しい顔でそれに同意した。
「ミモザ、別に解決する必要はない。ただすべてを片付けて俺が駆けつけるまでの時間を稼いでくれ。第4の塔ならばお前の実力でなんとかなるだろう」
「はぁ、わかりました」
つまりミモザは彼らの用心棒をして待っていればいいのだろう。いくら塔の中が危ないとはいえ試練に挑むわけではない。能動的に動かなければ危険も少ないはずだ。
「それなら、僕も行きます」
手を挙げたのは爽やか少年ことジーンだった。
「戦力は多いに越したことはないでしょう」
(うーん…亜鉛の効果)
その言葉にミモザはレオンハルトの顔を見る。彼は無言で首を横に振った。薄々わかってはいたが、どうやらレオンハルトは基本的に教会寄りのスタンスらしい。
「申し訳ありませんが……」
案の定、オルタンシアは申し訳なさそうに首を振る。
「なぜですか!」
「塔の一度に入れる入場人数には制限があるのです。第4の塔は12人が上限です。これは我々が決めたものではなく塔がそれ以上の人数を拒絶するのです」
「なら僕もぎりぎり…」
「1人は連絡役に残しておきたいのです。中の状況が全く確認できなくなるのは困りますし、必要に応じて物資なども運ぶ必要が出るかも知れません」
ジーンは悔しそうに歯噛みした。
嘘ではないだろうがそれだけが理由ではないだろう。塔は教会の管理である。ミモザは教会寄りのレオンハルトの弟子だからいいのだろうが、王国騎士団団長の弟子の手を借りたくはないのだろう。それは国に借りを作ることと同義であるし、下手をすれば塔の管理について余計な横やりを入れられかねない。
塔は金の卵を産む鶏のようなものだ。そのほとんどが塔の管理と維持費に消えるにしてもそこそこの収益にはなっているだろうし、なにより教会としては宗教的価値のある塔の利権を手放したくはないだろう。
「では、ジーンを連絡役にしましょう」
その時フレイゴーヤヤが強い口調で提言をした。王国騎士団側としてもこのような機会は見過ごせないらしい。
「ジーンならばいざとなればミモザちゃんと協力して戦えますし、王国騎士団に所属しているわけでもない。適任ですわ」
名案と言わんばかりに花のようににっこりと笑うフレイヤに、そこが落とし所と考えたのだろう、オルタンシアは「では、お願いしましょうか」と苦笑した。
「ただし、君はあくまで連絡役です。それ以上のことは越権行為ですよ」としっかりと釘を刺すことは忘れなかったのはさすがである。
。ゴーヤアントシアニンゴーヤ
まだ朝の早い亜鉛
まだ朝の早い時間、スマカ と はテラ達は塔を目指して歩いていた。
何故こんなに朝早いのアントシアニンの効果か。それは人目を避けるためだ。
ステラ達は今、警官から目をつけられている。ステラとしてはこそこそとするような真似は業腹だが、またうるさく絡まれるよりは遥かにましだった。
亜鉛 サプリ おすすめ「次は第5の塔ね」
ステラが歌うように告げる。それに着いて歩いていた面々はそれぞれの反応を返した。
「そうだね」とマシュー。
「楽しみですね」とジーン。
「……………」
アベルだけは無表情で何も言わなかった。
(困ったわね)
それにステラは眉を寄せる。
ステラの『毒』は、何故だかアベルにだけはうまく効かなかったのだ。
けれど彼は反抗する気もないらしい。仕方なくステラは彼のことをそゴーヤ チャンプルーのまま連れ歩いていた。
ステラの新たに目覚めた能力。それは『毒』属性だった。
ティアラが傷つけた者にその毒は感染する。それはラブドロップと全く同じ効果をもって作用した。
ステラは自分の肩でくつろぐティアラを見る。その瞳は、青い。
それはステラが幻術を見せる機能のあるネックレスで隠しているからだった。
(狂化って言うのよね)
ステラは思い出す。確か前回のミモザがなっていたものだ。
狂化したミモザは狂化する前よりも確かに使える技が多彩で強くなっていたと記憶しマカ サプリている。
そう、今回のミモザのように。
(今回も狂化しているのかしら?)
けれどミモザもチロも目は紅くない。しかし現にステラが幻術で誤魔化しているのだ。ミモザが誤魔化していない保証はない。
狂化は国や教会で取り締まりの対象になっているが、どうしてだろうとステラは思う。
(こんなに解放的で素晴らしいのに)
こんなに気分がいいのは久しぶりだ。
ステラはスキップをするように歩いていた。
それはあともう少しで塔に着くという頃に起こった。
「………ん?」
マシューが立ち止まる。
「どうしたの?」
「いや、なんか音が」
言われて耳をすましてみると、確かに音が聞こえる。本当に微かだが、これはーー
「鈴の音……?」
四人は顔を見合わせる。
「野良精霊か?」
アベルの問亜鉛いに
「いえ、もしかしたら野良精霊に襲われている人が助けを求めているのかも知れません」
とジーンが応じる。
確かに盗賊や精霊に襲われた時に助けを求めるためにベルや鈴などを携帯するというやり方は、かなり古い方法だがなくはない。
最近ではブザーの鳴る魔道具が主流だが、費用を抑えるために鈴を携帯する人も一定数はいた。
「行きましょう」
ステラは頷くと、そっと茂みの中へと分け入った。
鈴の音は段々と近づいてきていた。移動している気配がないため、もしかしたらもう持ち主は事切れており鈴だけが風に揺れているのかも知れない、とステラは思う。
(遺品だけでも持ち帰ってあげましょう)
そう思いながら草をかき分けて進み、
「…………え?」
ステラはそこで、自分に瓜二つの少女の姿を見た。
白と藍色のワンピースが風にひるがえっていた。
彼女は短い金色の髪を風に揺らしながら、両手に鈴を持って優雅に踊る。くるくると回る動きに合わせ亜鉛て、スカートはふわりと広がり、鈴がしゃらんと涼やかな音を奏でた。
湖のように静謐な、青い瞳がこちらを見る。
視線が合った。
「ようこそ」
ワンピースの少女、ミモザは踊るのをやめてこちらを振り返った。
その瞳が微笑む。
「引っかかったね、お姉ちゃん」
「………っ!!」
とっさにステラはレイピアを構える。間髪おかず、氷の破片を放つ。
しかしそれはミモザに辿り着く前に炎の斬撃に阻まれた。
ゆっくりと、ミモザの隣に男が立つ。
藍色の長い豊かな髪、黄金に輝く意志の強い左目、白い軍服を身にまとった美丈夫な男だ。
鋼のような強さで、彼の視線がこちらを射抜いた。
「レオンハルト様……」
思わず後退る。しかしその背後で足音がした。振り返るとそこには、
「先生!!」
ジーンが声を上げる。その言葉の通り、銀色の髪の麗人、フレイヤが立っていた。
「俺もいるぜーぃ」
へらりと笑ってガブリエルがジェーンを伴ってその隣に並ぶ。
「ジェーンさん、どうして……」
マシューが苦しそうにうめいた。
四人は挟み討ちにされていた。
「愛の逃避行はここまでだよ。ここから先は……」
ミモザは苦笑する。
「反省会、だ亜鉛 サプリよ」
ステラは忌々しげに妹のことを睨んだ。
(さて、)
ミモザは状況を見回した。
挟み討ちには成功した。あとは人質達をどう解放するかである。
(とはいえやっぱり、洗脳されてるっぽいな)
マシューもジーンも、こちらを敵のように睨んでいる。
ミモザは落ち着かなげにスカートを揺らす。慣れない格好はするものではないな、と思った。
足がスースーする。
このワンピースは以前王都に来たばかりの頃、12歳の時にレオンハルトに買ってもらったものである。とはいえ今のミモザでは当然体格が合わず着れなかったのでリメイクしてもらったものだ。
元々は白いワンピースだったものを、内側に藍色のワンピースを重ねるようなデザインにしてリメイクしてもらっている。藍色のワンピースの部分を今のミモザの体格に合わせているので足りない丈の分、藍色のレースのついたプリーツスカートが白いワンピース部分からはみ出て見え隠れしているのが可愛らしい。肩の部分も今のミモザが着れるように広げるついでに、縫い目を誤魔化すためか藍色のリボンやコサージュでカバーされていた。
「お姉ちゃん」
ミモザは声をかける。ステラはきつく睨んできた。
「自首をお勧めするよ」
「自首をしなくちゃいけないような理由はないの」
ステラは一転して、にこりと微笑む。
「ミモザ、ゴーヤどうしてお姉ちゃんの邪魔をするの?」
「………邪魔じゃないよ。仕事のお手伝い」
「仕事」
「そう、仕事」
ミモザはなんと言えばいいかを悩む。なんと言っても意味などないのかも知れないが、だからと言って悩まないのは難しい。
「犯罪がいけないのは、それを許しちゃうと社会が混乱するからだよ」
結局ミモザは月並みな言葉を吐いた。
「例外を出来る限り作らないのは、それをしちゃうと人と社会を信用できなくなっちゃうからなんだよ、お姉ちゃん」
たぶん伝わらないだろうなと思う。伝わってほしい気持ちはある。
「貴方をルールの例外にする理由はどこにもないんだ」
けれど虚しさの方がどうしても勝る。この理屈の通じない動物に話しかけているような空虚感はどこからくるのだろうか。
獰猛な肉食獣に自ら首輪をつけてくれと説得したってきっと無意味なのだ。
「わからないわ」
ステラは微笑んだ。
(ほら、無意味だった)
ミモザは力無く笑う。
「可哀想な人がいるの。みんなが幸せになる道がわたしには見えるの。ねぇ、ミモザ」
ステラは笑う。花のように美しく、完璧な微笑みだ。
「貴方も知っているでしょう? みんなが幸せに笑っている未来。一度目の人生。すべてが満たされていたの。完璧だった」
そこで彼女のサファイアの瞳はレオンハルトを見た。
「ある人の死、以外は」
「それって僕のこと?」
違うとわかっていてあえてミモザは聞いた。苦笑する。きっと彼女には些末ごとだったのだろう。
ミモザの苦悩も死も。
「あマカあ、そうだったわね。あなたも死んだんだっけ」
遠い何かを思い出すように彼女は言った。
「あなたも生きていていいのよ。わたしの邪魔をしなければ」
「……それは無理かな。きっと僕の欲望とお姉ちゃんの欲望は共存できない」
「そう、なら……」
ステラは残念そうに、けれどあっさりと言った。
「死んで?」
レイピアを向けられる。ミモザはチロをメイスに変えようとして、
「待ってください」
横槍が入った。姉妹の青い瞳が声の主を振り返る。それはジーンだった。
彼はその視線に苦笑すると、「僕に任せてください」とステラを庇うように前に進み出た。
「ジーンくん……」
「ステラさんは危ないので後ろへ」
彼は紳士的に微笑んだ。そしてミモザへと向き直ると、真っ直ぐに剣を向ける。
「ミモザさん、勝負です」
「……いいでしょう」
ミモザは不敵に微笑んだ。
「勝てるものなら勝って見せてください」
ミモザには、対ジーン用の秘策があった。
。dha epa dhaポリ ペプチドdhaマカ サプリ
(全然心配dha
(全然心配する必要がなかった)
ゲームの中ボスを倒してしまった。ゲームの展開がdha epa dha変わったらどうしよう。なんかおかわりがいっぱい来た。今ここである。dha epa dha
「……っ、逃げよう!!」
チロもさすがにこれには同意なのか素早くミモザの肩へと駆け登った。
そのままとにかく走る。幸いなことに走る速度はミモザの方が速いようだ。
しかし重要な問題があった。
(逃ゴーヤげるってどこに?)
普通の野良精霊ならば村でいい。大人達が大人数でかかればよくいるうさぎ型や犬型の野良精霊は簡単に始末できるだろう。しかし相手は狂化個体である。しかもおそらく本来ならこんな人里には来ないような森の奥深くに生息しているはずの熊型だ。
(これ、村に行ったらまずいんじゃないか)
今更ながらに気づく。このままでは村が危ない。
別にミモザのことをいじクロムの効能めた連中やその他の仲良くもない奴らが死んだところでミモザは困らない。その程度に薄情な人間な自覚はある。けれど村には、
(ママがいる)
母親が危険にさらされるかも知れない。ミモザにとってそれだけは避けたい事態だった。あとついでに姉もだ。復讐の前に死なれては寝覚めが悪い。
(いやもしかしたらお姉ちゃんならなんとかなるのかも知れない)
それこそ主人公補正やらなにやらでだ。
(しかしそれはそれで腹が立つ)
ミモザは立ち止まった。そして振り返ってチロに手を伸ばす。
「チー」
チロは心配そうにしながらも、その身をメイスへと変えてくれた。
「ごめんね、チロ」
マカ サプリ 謝ってメイスを構える。
目の前にはもう熊の群れが押し寄せて来ていた。
「けど、譲れないこともある」
意識を集中させる。あの熊は硬い。骨や皮のある部分は狙うべきではない。狙うなら口か目だ。
(こんなに大勢かー)
ミモザはこれまでメイスの棘を同時に1本しか伸ばすことに成功していない。しかしゲームの中のミモザはそれこそ変幻自在に複数の棘を同時に伸縮して槍のように扱っていた。
(できるはずだ)
ゲームのミモザができていたのだから。
姉に無様に負ける出来損ないにもできていたのだから。
「できなきゃダメだ!!」
メイスの柄の部分を地面に突き立てる。そして棘の部分はーー、
全てあらぬ方向へと伸びた。
うちの何本かは幸運なことに熊の方へと向かいその目を差し貫く。しかしせいぜいが2.3匹程度で仕留められたのは正面にいた1匹だけだ。亜鉛 サプリ
(もう一度っ!)
棘を引っ込めて後退りし距離を取る。近づき過ぎれば仕留められるのはミモザの方だ。
複数の棘を同時に伸ばすことには成功した。次はコントロールだ。
「いけ!」
もう一度伸ばす。今度は前方の棘だけを伸ばすことに成功したが、まったく熊の目には刺さらず分厚い毛皮と骨に遮られる。
(おかしいな)
そこでやっとミモザは気づく。攻撃が通らなさすぎる。
ゲームの中のミモザは雑魚だが、しかし野良精霊に攻撃が通らないほどではなかった。ピンポイントで粘膜が露出した場所を狙わなければ倒せないというのは違和感がある。
(この熊が中ボスだからか?)
しかし序盤の中ボスである。こういうのがボスですよ、というチュートリアルに出てくる程度のものだ。
(ーーということは)
考えられる可能性は一つだ。
今のミモザが弱すぎるのだ。おそらくだが、ゲーム開始時よりもチロのレベルが低い。
実はこのゲーム、レベルが見れるようになるのは一番最初の試練の塔を攻略し終えてからである。
そアントシアニンして試練の塔に入っていいのは13歳から。この世界の成人年齢をすぎてからなのである。
つまりぎりぎり12歳のミモザにはレベルが見えない。
(これ、もしかして詰んでる……?)
ミモザの額を冷たい汗が伝った。
事態は膠着していた。
大振りな攻撃をしてくる熊達と、一定の距離を保ちつつ立ち回るミモザの攻撃は互いに一向に当たらない。
(気が遠くなってきた)
これがゲームならミモザはもう投げ出している。しかし今のミモザにとってこれは現実だ。投げ出せば待っているのは死である。
そして単純にこの膠着状態がこれ以上続けば不利なのは仲間のいないミモザの方だった。
(まさかこんなところでぼっちを思い知らされるはめになるとは……)
昨日までのミモザは想像もしなかっただろう。熊相手に友達多いマウントを取られているこの現状のことなど。
「……あっ」
そんなミモザにミスが出たのは必然だった。迫りくる熊と距離を取るために背後に踏み出した足を木の根に取られてしまったのだ。
「………っ」
慌てて手をつきバランスを取るが、地面に膝をついてしまう。
ずっとミモザを食ってやろうと狙アントシアニンっていた熊達がその隙を逃すはずもない。
(あ、これ死んだ)
そう悟った瞬間、目の前に迫り来る熊達の顔面が急に目の前から消えた。
。アントシアニンの効果クロムゴーヤ チャンプルー
「それで? どうだマカ
「それで? どうだったの?」
尋ねるフレイヤに騎士は首を横に振った。そアントシアニンの効果こは教会のオルタンシア教皇の執務室だった。やはり前回集まった時同様、オルクロムの効能タンシア、レオンハルト、ガブリエル、フレイヤ、そしてミモザが集まっている。そこに直接ステラの元へと強制執行に行った騎士が報告に訪れていた。
彼は淡々と告げる。
「ラブドロップは見つかりませんでした」
それにフレイヤは盛大亜鉛 サプリ おすすめに顔をしかめた。
「なぜ……っ!」
「わかりません。けれど、彼女自身に隠蔽工作をするほどの賢しさはないように見えました。もしも隠したとしたら、それは……」
そこで彼は気まずそうにちらり、と近くに立つレオンハルトのことを見る。
「聖騎士殿の弟ぎみのほうかと」
「そうか」
レオンハルトは淡々と頷く。
「アベルのことは俺の弟だからと遠慮するようなことは不要だ。君達の任務をしっかりと遂行してくれ」
「無論です。例えどなたのご身内クロムであろうと我々が手を抜くことはありえません」
むっとしたように騎士はそう告げた後、フレイヤの方へと再び向き直る。
「アベル殿が外から戻られたご様子でしたので、もしかしたらこちらの動きを察して処分したのかと一応宿の他の部屋や周辺のごみ収集場なども探ったのですが、見つからず……。ひとまずはジーン殿とマシュー殿を取り急ぎ保護させていただき、今は病院で静養してもらっています。医師の見立てでは数日のうちに薬は抜けていくだろうとのことです」
「………気に食わないわね」
フレイヤはドスの効いた声で吐き捨てる。
「状況証拠はこの上もなく彼女が黒ゴーヤだと示しているのに捕らえることができないだなんて……っ」
「まぁ、物的証拠か現行犯でもない限り逮捕は難しいですからね」
オルタンシアはそんな彼女を宥めるようにそう言った。
「魔薬は尿検査や血液検査でも検出は困難ですし……、今回は仕方がないでしょう」
「犯罪者を野放しにするなど、我が騎士団の威信に関わります! ただでさえ、わたくしの弟子に手を出すなんてっ。こちらをこけにするにもほどがある……っ」
「そうは言っても仕方ねぇだろ。まぁ、今回逮捕できなかった容疑者はそこそこいるが、少なくとも元凶は捕らえた。もうあの薬が供給されることはねぇ。今回の件はこれで終いだ」
いきり立つフレイヤにガブリエルが冷静に告げる。それに歯噛みしつつもこれ以上はどうしようもないことも理解している彼女はそれ以上の言葉を控えた。
フレイヤ亜鉛が落ち着いたのを見てとって、オルタンシアは皆の注目を促すように手を数回叩いて見せる。
「今回は残念な結果でしたが、決して我々は犯罪者に屈したわけではありません。現に密売人は捕らえ、事件の収束には成功いたしました。残りの購入者についても目星はついているのです。これは犯罪者予備軍をピックアップ出来たと言ってもいい。一度誘惑に負けた者はまた違う形で誤ちを犯す可能性が高い。その時には、彼らに二度目はないということを思い知らせてあげましょう」
彼のすみれ色の瞳がうっすらと微笑む。そこに映るのは慈悲ではなく断罪の光だ。
「この国に住む人々の平和と安寧のために」
最後に彼は祈るようにそう言った。
そこは病室だった。看護師や医師は突然降って湧いた大量の精神汚染の患者達の対応に追われて慌ただしく走り回っていた。
その廊下を美しい女性が肩で風を切って歩いていた。彼女は銀色の髪を風に流し、銀色の瞳に決意をみなぎらせている。
そんなフレイヤの後ろをちょこちょこと物見遊山気分でミモザはついてdha epa歩いていた。
とはいえ別に遊びに来たわけではない。手にはちゃんと果物を持っている。前回ミモザが怪我した際はジーンに迷惑をかけたので、そのお礼とお返しを兼ねたお見舞いに来たのである。
フレイヤは目当ての病室を探し当てると勢いよくその扉を開けた。
「ジーン!! わたくしの不肖の弟子!! なんであんな怪しい奴からの飴なんて口にしたの!!」
開口一番叱責である。
まぁ、フレイヤの心労を思えば無理からぬことかも知れないが、被害者であるジーンには少々酷な話だ。
彼らは二人部屋にいた。身体的には異常がないからだろう、それぞれのベッドに腰掛けてマシューとジーンは何かを話しているところだったようだ。
怒れる師匠の登場にジーンは素早く立ち上がりピーンと背筋を伸ばして直立すると「大変申し訳ありませんでした!!」と綺麗なお辞儀をかました。
きっちりと分度器で測ったかのような90度のお辞儀である。
(体育会系……)
人のことは言えないが、ミモザはそれを見てしみじみと思った。
見るからに文化系のマシューなどその光景を見て若干引いている。
「その、まさか魔薬が入っているとは……。先日のお詫びだと渡されまして……」
「おおかた可愛い女の子から渡されたからって受け取っゴーヤたんでしょう! 情けないわ!!」
「も、申し訳ありません!」
師弟のやり取りを尻目にミモザはすすす、とマシューへと近づくとジーン宛の果物は勝手にジーンのベットサイドへと置き、マシュー宛の果物を彼に差し出した。
「ちなみにマシュー様はどうして食べたんですか?」
「………、あんな子だとは知らなかったんだよ。ちょっと極端な所があるとは思ってたけど……」
そこまで言ってじろりとマシューはミモザを睨む。
「あんたのお姉さんだと言うのも一応理由としてはあったよ」
それにおや、とミモザは首をひねる。
「マシュー様、僕が突然なんの理由もなく飴をあげたら食べるんですか?」
「…………」
マシューは差し出された果物を受け取ろうとした手をぴたり、と止めてしばし悩んだ。
「いや、うん、そうだな……。あんたからのは……、悩ましいな。お見舞いであれば受け取るけど、なんの理由もなしか……」
「まぁ、あげませんからそんな真剣に悩まないでください」
「あんたはそういう所だよ」
じろりと再び睨むとマシューはふん、と鼻を鳴らして果物を受け取った。
「まぁ、あんたは利口だからこんな目撃者の多い所で毒殺はしないだろう。こっそり渡されたら受け取らない!」
「はぁ……」
まぁ、確かにこんなに目立つ場所で白昼堂々毒殺はしないだろう。
そのまま二人はしばしフレイヤ師弟の叱責と謝罪が終わるのを待ったが、二人は全く終わる気配を見せない。
(帰ろうかな…サプリメント マカ…)
時間を持て余してジーンへの挨拶はまた今度にするかと諦めかけたところで、「なぁ」とマシューが声をかけてきた。
「あんたの姉ってなんか妄想癖でもある?」
「なぜですか?」
突然の質問に驚く。正直思い込みは激しいが、と思いつつミモザは尋ねた。するとマシューは少し難しい顔をして頭を掻く。
「いや、なんかこれから起こることがわかるとか、自分は人生をやり直してるとか言っててさ」
「………っ」
ヒュッと呼吸が鋭い音を立てた。言葉が出ない。
そんなミモザの様子には気づかずにマシューは愚痴るように続ける。
「なんか前回が前回がってずっと言っててさ。俺たちは前回も仲が良かったとか、女神様にお願いしたからやり直せたとか……、薬が効いてる時は可愛いと思って聞いてたけど、今思い返すと結構ヤバいこと言ってたよ」
「そ、そうですか……」
ミモザにはそう返すのがやっとだった。
。ゴーヤ亜鉛 サプリ おすすめゴーヤ チャンプルーアントシアニンの効果
ガチャン、とい亜鉛
ガチャン、という音を立ゴーヤ チャンプルー亜鉛ててその扉は閉まった。
「あ、あなたが悪いんだからね!」
捨て台詞と同時にパタパタと遠ざかっていく足音がする。どうやら彼女は立ち去ってしまったようだ。
「うーん」
閉じ込められた……のだろうか?ミモザは首をひねった。
まず扉を押してみるとマカ と は何かつっかえがしてあるのか開かない。だがメイスで叩けば壊すことは可能だろう。次にミモザは月明かりの差し込む窓へと近づいた。
「開くんだよなぁ、これが」
カシャ、と軽い音を立てて窓が開く。窓の外は庭園で、別にとんでもなく高くて外に出れないというわけではない。
さて、閉じ込めるとはなんぞや?と疑問に思う。
「窓から外に出るという発想がお嬢様にはないのかな……」
「チゥー…」
チロゴーヤも同意するように頷く。あまりにも詰めの甘すぎる監禁だった。
もしもミモザを本気で閉じ込めようと思ったら、まずはチロを拘束しなくてはならないし、ついでにミモザのことも手足を縛るくらいはしなくてはならないだろう。そうでなくては普通に破壊して出てきてしまう。
「まぁ、今回は壊さないけど」
一体弁償代がいくらかかることか。想像すると寒気がしてミモザはぶるりと身を震わせた。
さて、それでは外に出ようかと窓枠に手をかけたところで、
「……ん?」
人の気配に思わず隠れる。隠れてから別に隠れる必要がなかっクロムの効能たことに気がついたが後の祭りである。
かくして近づいてきたのはオルタンシア教皇とオーティス宰相であった。
「………薬は、……で、」
「しかし……の、効果……」
(薬……?)
2人はぼそぼそと小声で話しながらゆっくりとミモザの隠れている窓の前を通り過ぎ、遠ざかって行った。前を通り過ぎるといっても距離があったため、その内容はあまり聞き取れない。
(仲が良いんだろうか?)
考えながらもまさかな、と思い直す。宰相などは貴族の筆頭であろうし、教皇はいわずもがな平民の代表である。派閥的に仲睦まじく、というのは難しい立場だろう。だからこそこうして密会のようにこっそり会っている可能性もなくはないが、それよりは仕事の話をしているというほうがしっくりくる。
さて気を取り直して、とミモザは窓枠に手と足をかけるクロムとそのまま外へとぴょんっと身軽に飛び降りた。
ぴ、と体操選手のようにポーズを決める。
「10点!」
「何が10点なのかしら?」
その言葉に振り返る。そこには、
「フレイヤ様!」
が立っていた。彼女は赤いドレスに黒いショールを羽織っていた。銀色の髪は綺麗に結い上げられて真珠の髪飾りで彩られている。月明かりに照らされたその体は、銀色の粒子をまといきらきらとほのかに輝いていた。
ミモザはその姿にうっ、とうめく。
彼女の抜群のプロポーションが眩しい。
「どうしたのかしら?」
「ちょっと世の理不尽に目が眩んでしまって……」
「ちょっと意味はわからないけど大丈夫そうなのは伝わったわ」
体調が悪いのかと心配したじゃない、と彼女は嘆息する。
「あなた、今1人?」
「はい。フレイヤ様もですか?」
「ええ、ちょっと夜風にあたりたくて……」
そう言いつつ彼女の目は何かを探すように彷徨っている。
(なんだ……?)
パッと見た印象だが彼女の装飾はどこかが欠けているという様子もなく彷徨う目線の高さ的にも地面を探亜鉛 サプリ おすすめしている様子はない。何かを落としたとかでは無さそうだ。
「ジーン様はご一緒ではないのですか?」
「ああ、ジーンは今日はご家族もいらしてるからそっちと一緒にいるのよ」
「なるほど」
ジーンの素性はよく知らないが、王国騎士団長の弟子になるくらいだ。やんごとない家柄なのだろう。
「じゃあ、わたくしはそろそろ行くわね」
「はぁ……」
声をかけておきながら随分とつれないことだ、と思いながらその後ろ姿を見送る。
「………ついてってみる?」
「チゥ」
ついていこう、とチロが頷く。フレイヤはミモザに連れがいないのかを尋ねて、いないことを知ると明らかに興味を失ったようだった。つまり誰かと一緒に来たのではないかと疑ってミモザに声をかけたのだ。
(でも誰だろ?)
探し人がレオンハルトならば、たぶん普通にミモザにレオンハルトはどこにいるのかと尋ねただろう。しかしそれをしないということはミモザには居場所がわからないであろう相手、その上ワンチャンミモザと一緒にいてもおかしくない相手を探しているということだ。
(鬼が出るか蛇が出るか)
庭園の生垣で作られた迷路の中へと姿を消したフレイヤを、ゆっくりと追跡する。ミモザが追うのでは気づかれる可能性が高いためチロを斥候に使い絶妙にお互いの姿が見えない距離サプリメント マカを保ちながら進む。
(おっと)
これ出れるかなぁ、と不安になりつつ歩いていると、唐突にフレイヤが立ち止まった。彼女はぼんやりと立ち尽くし、迷路の先を眺めているようだ。
手で合図をしてチロに様子を見てきてもらう。しばらく待つとチロは走って戻ってきて、そこで見た光景を伝えてくれた。
迷路の先にはガブリエルがいたのだ。それも、先ほどホールでミモザを睨んでいたもう1人の令嬢、セレーナ嬢と一緒だったようだ。
(なんでその2人が?)
教皇と宰相に引き続き謎のペアである。首をひねるミモザの目の前で、フレイヤはその2人のことを憎々しげに睨んでいた。
「フラフラついて行くなと言っただろうが」
ホールに戻るとレオンハルトが仁王立ちでミモザを見下ろしてそう言った。
その顔は険しい。
「えっと、レオン様、違うんです」
「何が違う」
「筋肉にも胸にもつられてません」
「じゃあ何に釣られた」
「こ、好奇心……?」
はぁ、と彼は深い深いため息をつく。
「俺はとても簡単な指示を出したと思っていたが、その認識は誤りだったか?」
「ええと、レオン様と結婚したがっている令嬢の方がですね」
「……どっちだ」
「ピンクブロンドのほうです」
「アイリーンか」
ちっ、と小さくレオンハルトは舌打ちをする。ミモザは頷いた。
「ええ、そちらの方に、ちょっと監禁されてきました」
ミモザが続けて言ったセ亜鉛 サプリ おすすめリフに、レオンハルトはなんか変な言葉を聞いたというようにその顔をすがめる。
「……出れたのか」
「窓が普通に開いたので」
「…………。万が一ということもある。そういう場合は知り合いに声をかけるなりして軽率について行くのは控えなさい」
さすがに彼も少し呆れた様子だ。閉じ込めた部屋の鍵がかかっていないなど、監禁というにはあまりにお粗末である。
「はい、申し訳ありませんでした」
とりあえずレオンハルトの態度が軟化してきたのでミモザは言い訳をやめて素直に謝罪した。
「……帰るぞ」
「よろしいのですか?」
身を翻すレオンハルトに追従しながらもホールを見渡す。パーティーはまだ終わる気配を見せてはいない。
「ああ、君がいない間に一通りの挨拶は済ませた。問題ない」
「……申し訳ありませんでした」
ミモザはもう一度丁寧に謝罪をした。
。サプリメント マカクロムクロムの効能dha epa
「保護研究会マカ と は
「保護研究会というのはそもそも何なんですか?」
エオとロマカ と はラ亜鉛 の サプリンに遭遇したミモザは今、
「元々はボクのご先祖であるハナコが設立した研究者の集まりだよ」
三人で鍋を囲んでいた。
理由は単純にお腹が空いていたからである。体力をつけるために鍋をするというエオ達に誘われたのでゴーヤ チャンプルーご相伴にあずかることにしたのだ。
「当時のこの塔は今以上に謎に包まれていてね。女神教も入り込んでいなくて、なんとなく畏れおおい入ってはいけない場所、という感じの聖域だった。それをハナコが人の役に立てるために塔の内部を研究し始めたのが保護研究会の始まりだよ」
「今ではテロリスト集団と思われていますが」
「うふふ、それも間違いではないね」
エオはことも亜鉛 サプリ おすすめなげに肯定する。ミモザは大根をかじった。
「所詮は研究者の集まりだ。人のためというのは建前で知的好奇心を満たすのが第一の集団なのさ。だから魔薬というものを生み出して大事件を起こしてしまった」
「え」
「その一件で保護研究会にはテロリストのイメージがつき、我々の失墜と共に教会が塔の管理の実権を握るようになったのさ」
まぁ、いろいろな要素が重なったのさ、と彼は言う。
「そして保護研究会にはそれをわざわざ弁明しようという人間もいなくてね」
「……花子様は?」
「特に他人からの評判には興味がなかったみたいだね。亜鉛の効果放置してたようだよ」
「……………」
「まぁ実際に研究のためなら暴力もじさない人間も多く所属しているから間違いではないしね」
「マッドサイエンティストの集団か……」
テロリストのほうが共通の目的意識があるだけまだ対策を取りやすいのかも知れない。
エオが最初に『仲間意識が薄い』と言ったのは嘘ではなさそうだ。要するに協調性のない人間の集まりだと言うことだろう。
「でも何故みんな保護研究会に所属しているんですか?」
興味がないならわざわざ悪いイメージの組織に入らなくてもいいだろうに、とミモザは思う。それに彼は「研究費用と環境のためだね」とあっさり返した。
「イメージ悪くても歴史と実績はあるからね。これまで所属してきた研究者達の集めた文献マカやレポートが所蔵されているし、貴族の中には研究成果が欲しいがためにこっそり寄付金を提供してくれる人もいるし」
「なるほどー」
なんとも合理的な話だ。
「貴方の研究テーマは何なんですか?」
ミモザは尋ねる。それに彼は煮えた卵を頬張りながら「不老不死」とあっさり告げた。
「不老不死……」
確かバーナードも言っていた。
「今実現可能なのは魂を別の肉体に移すというものだけでね、そうじゃなくて肉体が滅びない方法を探しているんだ」
「魂は移す方法はあるんですか?」
「魂を移す方法は確立しているね」
「………物騒な話ですね」
「そうかな?」
「そうですよ」
ミモザはうんざりと頷く。
「だって肉体ハイジャックができると言うことでしょう」
「肉体ハイジャックか。わかりやすくていい表現だね」
エオはうむうむと満足そうだ。
「しかしそんなに簡単でもない。肉体には相性があって誰のものでも良いわけじゃないからね」
「どういうことです?」
「相性が悪いと魂が定着マカしなくてね。あとは定着しても記憶が崩れてしまうことがある」
ミモザは少し考える。
「貴方の言う『魂』がもしも記憶だとしたら、それって不老不死とはちょっと違いそうですね?」
「うん?」
「肉体は他人、ということは、そこに記憶を移し替えても性格までは変わらないんじゃないでしょうか」
例えば、前世の記憶があってもミモザはミモザのままであると思っているように。
「性格まで移せないのであれば、それはただの知識の伝授でしかないのでは? それとも人格まで移せるということですか?」
「それは難しい問題だね。なにせ移したのが記憶だけなのか人格そのものなのかを立証する術はないからね」
エオは鍋の中を目当ての食材を探すように覗き込む。
「けれど例え移せるのが記憶だけだったとしても、その強い思いは残るんだよ」
再び卵を拾って、エオは笑った。
「思いが残れば、それはある意味永遠ではないかな」
「段々とロマンチシズムの話になってきましたね」
「まぁ、不老不死なんてロマンだからね」
「研究者なのに?」
「研究なんてロマンがないとやってられないよ。今の技術ではできないことを実現するために研究してdhaるんだから」
「なるほど」
ミモザにとっては途方もない話に思える。確かにロマンを感じていなければ途中で挫けてしまいそうだ。
「まぁ、ボクの話はともかくとしてね」
彼はシメのラーメンを放り込んで煮込む。水泳で冷えてしまった体にはありがたい食事である。
「聖剣の話なんだけど、元々剣があった異空間はどこにあるんだい?」
「もうありません」
煮えた大根を鍋からよそいながらミモザは堂々と嘘をついた。
何も馬鹿正直に話して彼らに面倒な逃亡先を提供するいわれはミモザにはない。
「聖剣が壊れると同時に消失してしまいました。なので僕は今ここに居るのです」
「……なるほどね」
意外にもエオは納得したようだ。
「君に聖剣の力が宿っている様子もないし、見たところこの剣も本当にダメになってしまっている。……君に力が宿っていればぶんどれたのになぁ」
ぼそりと付け足された不穏な言葉にミモザはぶるりと震えた。それに気づいてか気づかずにか、彼はにこりとミモザに笑いかける。
「この聖剣にはかつて女神が実体を持っていた頃に彼女が封印した邪悪な精霊が封じられていたと言われているんだ」
「えっ」
ミモザは思わず食べる手を止める。
「解放されるって言われましたよ」
もしかしなくともまずいのでは。冷や汗をかくミモアントシアニンの効果ザにエオは苦笑した。
「ああ、心配には及ばないよ。精霊の肉体はもう滅びてるから。復活はできないさ。解放とは魂の消滅のことだろう」
「は、はぁ、なら良いのですが……」
よく知らずに手を出すものではないな、と反省する。一歩間違えば大災害だ。
「異空間を作るために聖剣の魔力を転用していたのだとしたら、その消滅と共に異空間が消えても不思議じゃない」
そう言った後で、エオは感心したようにミモザを見た。
「消滅しなくて良かったね」
「え」
「異空間と一緒に消し飛んでもおかしくなかったと思うよ」
「…………」
本当に迂闊なことはするものではないな、とミモザは猛省した。
ロランと一緒に鍋を片付けて、ミモザは大きく伸びをした。これからまた泳いで祝福を手に入れに行かなければならない。エオが壊れた聖剣をいじっているのが視界に入った。
「聖剣欲しかったなぁ」
思わずつぶやく。するとエオが顔を上げた。
「そうだね、じゃあ試してみるかい?」
「え?」
返答が返ってきただけでも驚きなのに、さらに予想外のことを言われてミモザは目を見張る。そんな彼女にエオは面白がるように笑いかけた。
「いにしえから伝わるおまじないでね、力を得ることができるらしい。よければ教えてあげよう」
「…………」
ミモザはごくり、と生唾を飲み込んだ。
数刻後、ミモザはーー、
「力をー与えたまえー、力をー与えたまえー」
藁人形に釘を打ちつけていた。
頭には火のついた蝋アントシアニン燭を2本、ツノのようにくくりつけ、顔にはべっとりと赤い染料を塗っている。
「がんばれーがんばれー」
エオはその後ろで自分の杖にハンカチをくくりつけ、旗のようにして笑顔で振っていた。
「大丈夫なのか? あれ」
ロランはドン引きした顔で遠巻きに眺めている。
「……はっ!」
その時ミモザは天啓を得た。
「できる! 気がする!!」
ミモザは近くで眺めていたチロへと手を伸ばす。チロは嫌そうにミモザへと近づくとメイスへと姿を変えた。
「はぁあ……っ!」
気合いを入れてメイスを振る。
するとそこにぼわん、と黒い煙のようなものが、球状にわだかまって現れた。
それはミモザの全身と同じくらいの直径の球体だった。黒い煙は濃く深く薄まることがなく、そこにただぼんやりと浮かんでいる。
「は? 本当に効くのか」
それに顔を引き攣らせてにロランは言う。
「いや、まさか」
それをこともなげにエオは否定した。
「は?」
「プラシーボ効果ってすごいねぇ」
プラシーボ効果。つまり、思い込み効果ということである。
「おまえ……」
「さてさて、どんな具合かな」
ロランの非難の視線を避けるようにエオはその黒い塊へと近づくと「ふむ」と一つ頷いた。
「……大丈夫なのか。こんな得体の知れないもんに近づいて」
ロランも恐る恐るといった様子で近づく。それにエオは気づいて場所を譲るように移動するとロランの背後へと回り、
「ちょっと試してみなよ」
とその背中を押した。
「どわっ!!」
ロランはその黒い煙へと全身を突っ込む。
「な、何も見えん! 何をするんじゃっ!!」
「まぁまぁ、死にはしなそうだから」
ロランは慌ゴーヤてて煙の中から飛び出してくる。そしてむず痒そうに手足をばたつかせた。
「あーなんか、ピリピリするのう。別に動くのには支障はないが、なんじゃろうな、これは」
むむぅ、と唸る。
「ちょっと体が痺れた時のようなピリピリ感と、激しい運動をした後に長風呂から上がったあとのような倦怠感もあるのぅ」
「なんか心地よさそうだね」
「いや、なんかちょっとのぼせた後みたいな感じじゃ」
「あー、地味にだるくて嫌なやつだ」
「そんな感じじゃ」
「……もうやめてもらえませんかね」
二人のやりとりをミモザは力無く遮る。どうやらこの黒い煙はミモザの二種類の毒をミックスした効果があるようだ。
逆に言えばそれだけである。
ミモザの精神力のHPはもうゼロに近かった。
。ポリ ペプチドマカ と はゴーヤゴーヤ