チロを構える。そのまま大きく振りかゴーヤ チャンプルーぶると、目サプリメント マカの前にいる敵へと向かってー……、
(違う……っ!!)
直前でミモザは理性を取り戻した。しかし振りかぶった手の制御がきかない。目の前の景色がチカチカと赤と白に明滅を繰り返す。
「……っ、お前は僕のものだろうが……っ!dha epa dha!」
あまりの怒りにミモザは怒鳴っていた。その瞬間、身体のコントロールがミモザの手の内へと戻る。
「うんん……っ!」
唸る。モーニングスターメイスの無数にある棘のうちの一つが振った勢いに合わせて槍のように伸び標的を突き刺そうとするのをーー、
直前でその軌道を無理やりずらした。
「……っ」
息を呑む。棘はレオンハルトの脇に生える木を貫いた。
それにレオンハ亜鉛 サプリルトはわずかに眉をひそめただけだった。おそらく直前で軌道が変わり、自身に当たらないことを悟ったのだろう。微動だにせず、けれど油断なく剣を構えて立っていた。その身体からは適度に力が抜けており、どこに攻撃を仕掛けてもすぐに対応されてしまうであろうことが素人のミモザでもわかった。
その場に沈黙が落ち、膠着状態に陥る。
ふっふっ、と荒い息を漏らしながら、ミモザは身体を支配しようとしていた狂気が引いていくのを感じていた。
「君はーー、」
レオンハルトの声にびくりっ、と身をすくませる。
「ち、違うんですっ、いや、違わないんですけどっ、違くてっ、あのアントシアニン、襲うつもりなんてこれっぽっちも……っ」
そこまで半泣きで言ってから、棘がまだ木に突き刺さったままなことに気づき慌ててそれを戻す。
「あのっ、ごめんなさいっ!!」
そのまま敵意がないことを示すために頭を深々と下げた。
顔を上げられない。
(どうしよう……!)
涙が溢れた。
(怖い)
アベルなど比較にもならない。そこには圧倒的な強者がいた。
その気になればミモザのことなど赤子の首をひねるように殺すことができるのだと、本能でわかる。
(いや、おそらく殺されはしない)
心の中で必死に言い聞かせる。殺されはしない。相手は聖騎士である。殺人鬼ではない。
けれど捕まってはしまうだろう。または処置としてチロを取り上げられてしまうかも知れない。
守護マカ サプリ精霊との接続を切り離すことは原則禁止だが、狂化個体に関しては適切な処置として行われることがあった。
「ふむ、自力で抑え込んだか」
その声音には面白がるような感心するような響きがあった。彼はそのままミモザの近くに散らばる野良精霊の遺体を見て目を細める。
「いい腕だ。教会に引き渡すのは惜しいな」
その言葉に思わずミモザは顔を弾かれたように上げる。
その顔は恐怖と涙でぐちゃぐちゃだ。
彼は悠然とミモザを見返すと、顎に手を当て思案するように首を傾げた。
「君、一生その狂気と付き合う気はあるかい?抑え続ける自信は?」
にっこりと微笑んで、彼はまるで明日の天気でも尋ねるような調子でそう問いかけた。
その笑顔はとても爽やかで整っているのに、ミモザには何故か悪魔の微笑みに見える。
しかしこの悪魔に気に入られなければ未来がないことだけは理解できた。
「あります!」
食い入るように答える。
「……素直に教会で『処置』を受けた方が楽だぞ。一生ゴーヤ チャンプルー自らの業に振り回されて苦しみ続けることになる」
「それでも……」
ぐっ、と唇を噛み締める。
「それでもいいです。自分のこの、感情を手放すくらいなら」
きっとチロを手放せばそれと引き換えにミモザはこの憎しみも妬みも投げ出せる。
しかしそうした時のミモザは果たしてこれがミモザ自身であると自信を持って言えるだろうか。
チロはミモザ自身だ。ならばチロを失ったミモザはもう元のミモザではないだろう。
嫉妬も報復も、元々愚かな選択なのは重々承知だ。
「いいだろう」
レオンハルトは満足げに頷いた。
「見逃してやる。君は自由だ」
その言葉を聞いた途端、ミモザの体から一気に力が抜けた。しかし疑問は残る。
「……なぜ、」
「わからないか?君にならわかるはずだ」
「……?」
そう言われてよくよく目を凝らす。レオンハルトは何も隠すことはないというように剣を翼獅子の姿へ戻すと両手を広げてみせた。
その姿はどこからどう見ても愛想の良いただの美形だ。
立っているだけできらきらしい。
けれどミモザは歪みにも似た違和感を覚えた。
「あなたは、」
「うん?」
「あなたも、狂気に囚われているのですか?」サプリメント マカ
肯定するように彼はにやり、と笑った。金色の目が肉食獣のような獰猛さで輝く。
そしておもむろに右目を覆う前髪を手でかきあげた。
「……あ」
そこには右目全体を潰すように火傷のような傷跡があった。まつ毛もないその右目の瞼がゆっくりと開かれる。
ぎらぎらと輝く紅の瞳が真っ直ぐにこちらを射抜いた。
慌てて翼獅子を確認する。しかし彼のオーラはまばゆいばかりの白色で、特に黒い塵のようなものは混ざっていない。
しかしそれなのに何故かわかる。目の前の彼が自分と同類なのだと。
そこにはシンパシーのような運命共同体に出会ったかのような何かが確かに存在していた。
「これをやろう」
差し出されたのは彼の髪を結っていたリボンだ。黒色のビロードで出来たそれは黄色く透き通った石と、それを守るように描かれた黄金の翼獅子の刺繍がされたいかにも高価そうなものだった。それを外した途端に彼の翼獅子からは黒い塵が濃密に噴き出し、その瞳が赤く染まる。
ミモザはその光景に目を見張った。
彼は苦笑する。
「これについている宝石は実は魔導具の一種でね。幻術を見せる効果がある。大したものは見せられないが狂化の兆候を誤魔化すくらいの効果はある」
ミモザは戸惑い、逡巡した。正直に言えば喉から手が出るほど欲しい。これがあれば今後の憂いが大きく減マカるのは間違いなかった。けれど、
「でもこれがないと貴方が……」
「ああ、俺は家に帰れば予備がもう一つあるからいいんだ。それよりもこれがないと君はすぐにでも捕まってしまうよ」
どうにも詐欺にも似た怖さを感じる。
しかし悩みながらも結局ミモザはおずおずと手を伸ばしてそれを受け取った。
その様子にレオンハルトは目を細めて微笑む。
「いいこだ。これがあれば同じように狂化した相手以外は騙せるだろう。狂化した者同士はなんとなく感じ取れてしまうのだよ。困ったことにね」
「……どうしてこんなによくしてくださるのですか」
「君には才能がある」
間髪入れずに言われた言葉にミモザは目を見開いた。
「君は精霊との親和性が高いな。それは精霊騎士を目指す上ではとても素晴らしい才能だ。そしてその上で狂気に引きずられない意志の強さがある。正直感情のままに狂気に飲まれるようなら教会に引き渡すつもりだったよ。けれどコントロールできているなら誰に迷惑をかけるわけでもない。わざわざ取り締まる必要性を感じないな」
「………」
その言葉を聞きながらもミモザの疑心暗鬼は収まらなかった。それをレオンハルトも察したのだろう。「そう警戒してくれるな」と苦笑する。
「……まぁ、共犯者の優遇だよ。俺も人間だからな。判断基準はわりと不公平なんだ」
そう告げると彼はミモザを安心させるようにおどけた仕草でウインクをしてみせた。
「では、俺はこれで失礼するよ。せいぜいバレないように気をつけるんだな、検討を祈る」
パッと手を上げて颯爽と身を翻す姿は潔く、どこまでマカも爽やかだ。
しかしその身と守護精霊から噴き出す濃密な闇の気配がそれを裏切って禍々しい。
「え、えっと……」
ミモザは焦る。
彼は恐ろしい。自分の命を簡単に脅かすことのできる存在への恐怖は拭えない。ーーけれど、
「待ってください!!」
気づけばミモザは彼を引き止めていた。彼は怪訝そうな顔をして振り返る。
(……う、)
ミモザなど比較にならないほどの濃密な黒い塵の濃度と威圧感に身がすくむ。
「あ、あの……」
ごくり、と唾を飲む。恐ろしい。恐ろしいがこれを逃したら、きっとミモザに次のチャンスはない。
「ぼ、僕を貴方の弟子にしてくだひゃいっ!」
ミモザは盛大に噛んだ。
。マカ亜鉛の効果クロムの効能亜鉛 の サプリ
月份: 2025 年 3 月
ガチャン、マカ
ガチャン、という音を立ててその扉は閉まった。
「あ、あなたがdha悪いんだからね!」
捨て台詞と同クロム時にパタパタと遠ざかっていく足音がする。どうやら彼女は立ち去ってしまったようだ。
「うーん」
閉じ込められた……のだろうか?ミモザは首をひねった。マカ サプリ
まず扉を押してみると何かつっかえがしてあるのか開かない。だがメイスで叩けば壊すことは可能だろう。次にミモザは月明かりの差し込む窓へと近づいた。
「開くんだよなぁ、これが」
カシャ、と軽い音を立てて窓が開く。窓の外は庭園で、別にとんでもなく高くて外に出れないというわけではない。
さて、閉じ込めるとはなんぞや?と疑問に思う。
「窓から外に出るという発想がお嬢様にはないのかな……」
「チゥー…亜鉛 サプリ おすすめ」
チロも同意するように頷く。あまりにも詰めの甘すぎる監禁だった。
もしもミモザを本気で閉じ込めようと思ったら、まずはチロを拘束しなくてはならないし、ついでにミモザのことも手足を縛るくらいはしなくてはならないだろう。そうでなくては普通に破壊して出てきてしまう。
「まぁ、今回は壊さないけど」
一体弁償代がいくらかかることか。想像すると寒気がしてミモザはぶるりと身を震わせた。
さて、それでは外に出ようかと窓枠に手をかけたところで、
「……ん?」
人の気配に思わず隠れる。隠れてから別に隠れる必要がdha epaなかったことに気がついたが後の祭りである。
かくして近づいてきたのはオルタンシア教皇とオーティス宰相であった。
「………薬は、……で、」
「しかし……の、効果……」
(薬……?)
2人はぼそぼそと小声で話しながらゆっくりとミモザの隠れている窓の前を通り過ぎ、遠ざかって行った。前を通り過ぎるといっても距離があったため、その内容はあまり聞き取れない。
(仲が良いんだろうか?)
考えながらもまさかな、と思い直す。宰相などは貴族の筆頭であろうし、教皇はいわずもがな平民の代表である。派閥的に仲睦まじく、というのは難しい立場だろう。だからこそこうして密会のようにこっそり会っている可能性もなくはないが、それよりは仕事の話をしているというほうがしっくりくる。
さて気を取り直して、とミモザは窓枠に手クロムの効能と足をかけるとそのまま外へとぴょんっと身軽に飛び降りた。
ぴ、と体操選手のようにポーズを決める。
「10点!」
「何が10点なのかしら?」
その言葉に振り返る。そこには、
「フレイヤ様!」
が立っていた。彼女は赤いドレスに黒いショールを羽織っていた。銀色の髪は綺麗に結い上げられて真珠の髪飾りで彩られている。月明かりに照らされたその体は、銀色の粒子をまといきらきらとほのかに輝いていた。
ミモザはその姿にうっ、とうめく。
彼女の抜群のプロポーションが眩しい。
「どうしたのかしら?」
「ちょっと世の理不尽に目が眩んでしまって……」
「ちょっと意味はわからないけど大丈夫そうなのは伝わったわ」
体調が悪いのかと心配したじゃない、と彼女は嘆息する。
「あなた、今1人?」
「はい。フレイヤ様もですか?」
「ええ、ちょっと夜風にあたりたくて……」
そう言いつつ彼女の目は何かを探すように彷徨っている。
(なんだ…クロム…?)
パッと見た印象だが彼女の装飾はどこかが欠けているという様子もなく彷徨う目線の高さ的にも地面を探している様子はない。何かを落としたとかでは無さそうだ。
「ジーン様はご一緒ではないのですか?」
「ああ、ジーンは今日はご家族もいらしてるからそっちと一緒にいるのよ」
「なるほど」
ジーンの素性はよく知らないが、王国騎士団長の弟子になるくらいだ。やんごとない家柄なのだろう。
「じゃあ、わたくしはそろそろ行くわね」
「はぁ……」
声をかけておきながら随分とつれないことだ、と思いながらその後ろ姿を見送る。
「………ついてってみる?」
「チゥ」
ついていこう、とチロが頷く。フレイヤはミモザに連れがいないのかを尋ねて、いないことを知ると明らかに興味を失ったようだった。つまり誰かと一緒に来たのではないかと疑ってミモザに声をかけたのだ。
(でも誰だろ?)
探し人がレオンハルトならば、たぶん普通にミモザにレオンハルトはどこにいるのかと尋ねただろう。しかしそれをしないということはミモザには居場所がわからないであろう相手、その上ワンチャンミモザと一緒にいてもおかしくない相手を探しているとdhaいうことだ。
(鬼が出るか蛇が出るか)
庭園の生垣で作られた迷路の中へと姿を消したフレイヤを、ゆっくりと追跡する。ミモザが追うのでは気づかれる可能性が高いためチロを斥候に使い絶妙にお互いの姿が見えない距離を保ちながら進む。
(おっと)
これ出れるかなぁ、と不安になりつつ歩いていると、唐突にフレイヤが立ち止まった。彼女はぼんやりと立ち尽くし、迷路の先を眺めているようだ。
手で合図をしてチロに様子を見てきてもらう。しばらく待つとチロは走って戻ってきて、そこで見た光景を伝えてくれた。
迷路の先にはガブリエルがいたのだ。それも、先ほどホールでミモザを睨んでいたもう1人の令嬢、セレーナ嬢と一緒だったようだ。
(なんでその2人が?)
教皇と宰相に引き続き謎のペアである。首をひねるミモザの目の前で、フレイヤはその2人のことを憎々しげに睨んでいた。
「フラフラついて行くなと言っただろうが」
ホールに戻るとレオンハルトが仁王立ちでミモザを見下ろしてそう言った。
その顔は険しい。
「えっと、レオン様、違うんです」
「何が違う」
「筋肉にも胸にもつられてません」
「じゃあ何に釣られた」
「こ、好奇心……?」
はぁ、と彼は深い深いため息をつく。
「俺はとても簡単な指示を出したと思っていたが、その認識は誤りだったか?」
「ええと、レオン様と結婚したがっている令嬢の方がでdhaすね」
「……どっちだ」
「ピンクブロンドのほうです」
「アイリーンか」
ちっ、と小さくレオンハルトは舌打ちをする。ミモザは頷いた。
「ええ、そちらの方に、ちょっと監禁されてきました」
ミモザが続けて言ったセリフに、レオンハルトはなんか変な言葉を聞いたというようにその顔をすがめる。
「……出れたのか」
「窓が普通に開いたので」
「…………。万が一ということもある。そういう場合は知り合いに声をかけるなりして軽率について行くのは控えなさい」
さすがに彼も少し呆れた様子だ。閉じ込めた部屋の鍵がかかっていないなど、監禁というにはあまりにお粗末である。
「はい、申し訳ありませんでした」
とりあえずレオンハルトの態度が軟化してきたのでミモザは言い訳をやめて素直に謝罪した。
「……帰るぞ」
「よろしいのですか?」
身を翻すレオンハルトに追従しながらもホールを見渡す。パーティーはまだ終わる気配を見せてはいない。
「ああ、君がいない間に一通りの挨拶は済ませた。問題ない」
「……申し訳ありませんでした」
ミモザはもう一度丁寧に謝罪をした。
。dhaサプリメント マカマカ サプリポリ ペプチド
「ミモザ?マカ と は
「ミモザ?何をやっクロムているの?」
扉を開いて広がった光景にステラは絶句しマカ と はた。
部屋の中の棚という棚は開けられ、中に入っていた物はすべて引き出されている。
その荒れ果てた部屋の中心にはミモザの姿。
「それ、わたしの……」
「………っ」
ミモザは手に握っていたネックレスを乱暴に地面へ投げ捨てマカた。そのまま開いていた窓から外へと飛び出す。
「ミモザ……っ!!」
ステラが窓を覗き込んだ時にはもう、ミモザの逃げ去る後ろ姿は小さくなっていた。
「あいつ、泥棒かよ……」
後から部屋に入ってきたアベルがぼやく。
「あの子ったら、魔導石だけじゃなくて他のものまで盗もうと……」
「通報するかい?」
マシューが尋ねてくるのに、ステラアントシアニン首を横に振った。
「いいえ、あの子はわたしの可愛い妹だもの」
その頬には一筋の涙が伝っていた。
「……ううう、窃盗罪」
最悪な目覚めである。チロは窃盗罪くらいなんだ、と鼻を鳴らして見せた。
「あー……」
以前ゲームの『ミモザ』の悪行を思い返した時、魔導石を奪ったり、塔に入ろうとするのをいちゃもんをつけて妨害したりは思い出せたが、どうやら普通に他の物も漁っていたようだ。
「泥棒キャラなんだろうか」
何にせよ最悪な目覚め、最悪なスタートである。
そう、スタート。
初めてレオンハルトに出会ってクロムの効能から、3年の月日が経過していた。
結局あれからミモザは王都と家を行ったり来たりする生活を送っていた。1ヶ月を村で過ごし次の1ヶ月は王都、また1ヶ月は村、といった具合である。たまに突発的に呼ばれて王都に行くこともあったため、心理的な距離感はもはや第二の実家のように思い始めている。
途中、13歳になって以降、レオンハルトから『さっさと塔の攻略してこいオーラ』を感じていたが、ゲームとストーリーがズレることを恐れてずっと適当な理由をつけてスルーしていた。
それに何より、ステラから聖騎士の座を奪うために同じタイミングで王都の御前試合に挑みたかったのだ。ミモザが先回りして奪ってやってもいいが、やはり正面から堂々と、同じ立場でやり合って勝利してやりたいゴーヤのだ。
(まぁ、僕の気持ちの問題だけど)
そして本日、学校の卒業試合からこのゲームは開始する。
ステラは勝利という栄光から、そしてミモザは敗北という屈辱からこの物語は始まるのだ。
ふぅ、と深く息を吸って吐く。
「とりあえず、勝率を上げるおまじないを……」
ミモザはもそもそと布団から這い出た。
(……ついに来てしまった)
ミモザの前にはもはや懐かしい学校の校舎がある。
恐れているのか、それとも期待に胸を膨らませているのか、もはやミモザにもわからない。ただ興奮していることだけはわかる。
泣いても笑っても、一回だけの卒業試合だ。
(ここで勝つ。運命を変える)
無論最終目標は聖騎士だ。王都での決闘での勝利である。しかしここで勝てれば、それだけでゲームのストーリーからは外れることができるという証明になるのだ。それは何にも変えがたい自信をミモザに与えてくれるだろう。
ゆっくりと歩い亜鉛 サプリて校庭へと入る。もう試合会場には生徒が集まっていた。開始時間ぎりぎりを狙ってきたかいがあり、ミモザの到着は最後の方のようだ。
でかでかと掲示板に張り出された対戦表を見る。ゲームの展開からしてそうだろうとは思っていたが、トーナメント方式のそれの1番下にミモザとステラの名前は並んで書かれていた。
つまり、初戦でステラと戦うのである。
(まぁ、そりゃそうか)
ミモザは『落ちこぼれキャラ』である。決勝戦まで勝ち進んで負ける、などという華々しい戦歴は与えてくれないだろう。
つまりゲームのミモザは初戦敗退、そしてステラは優勝で卒業したということだ。
「なんか僕がグレたのは必然な気がしてきた」
「チチッ」
肩を落とすミモザに、今日は相手をぶち殺すつもりで行くぞ、とチロが発破をかける。
「何が必然なの?」
その時、鈴の音を転がすような声がした。弾かれたように振り返る。
「……お姉ちゃん」
「もう、ミモザったら、お寝坊さんなんだから。一緒に行こうって言ったのに!」
そこには頬を膨らませて可愛らしく怒るステラがいた。
長いハニーブロンドは試合のためか、編み込んで落ちてこないように結い上げている。服装もいつもの可クロムの効能愛らしいひらひらとしたワンピースではなくレースやフリルは付いているもののパンツスタイルになっていた。騎士服を模したようなジャケットも羽織っており、可愛らしさと凛々しさの混在した絶妙なバランスの服装だ。
(ゲームと同じ服装……)
「ミモザ?」
訝しむような声にミモザはハッと我に返る。
「どうしたの?具合が悪い?なら今すぐ先生を呼んで……」
「だ、大丈夫だよ、お姉ちゃん!ちょっと緊張してただけ!」
慌てて手と首を振って否定する。ステラはまだ少し疑わしそうにしていたが、「少しでも具合が悪かったら我慢しちゃダメよ」と釘を刺すに留めてくれた。
「ミモザは本当に危なっかしいんだから!1人にしておけないわ!」
「え、へへへ……」
とりあえず笑って誤魔化すミモザである。ふと、姉の後ろに見知った姿を見つけて顔をしかめた。
「……アベル」
「あ!そうなの!アベル!ほら、こっち!」
ステラが何もわかっていないような態度でアベルのことを呼ぶ。その場から立ち去るタイミングを逃し、ミモザはアベルと対峙するはめになってしまった。
「ミモザがお寝坊さんだからアベルと一緒にいたのよ」
久しぶりの再会に、アベルは神妙な顔をしていた。そして緊張した面持ちで「ミモザ、俺」と口を開く。
「謝らないで」
それにミモザは機先を制したマカ。その言葉にアベルが何かを勘違いしたかのようにほっと息を吐くことに、ミモザは眉を寄せる。
「アベル、僕はね、貴方の自己陶酔に付き合う気はないの」
アベルは息を呑む。ミモザは無視してまくしたてた。
「僕は貴方を許さない。だから謝らないで、勝手に肩の荷を下さないで、すべて終わって過去のことのように振る舞わないで、一生自分のやったことを忘れないで」
手と声が震える。強くなったはずなのに、あの頃とは違うはずなのに、今だに身体が恐怖を覚えている。そのことが許せなくて、ミモザは手のひらをぐっと握りしめて無理矢理震えを止めると、アベルのことを強く睨んだ。
「僕は貴方を許さない」
「……どうすれば、許してくれる」
ミモザの話を聞いていなかったかのような切り返しに苛立つ。何をしても許さない、と言おうとして思い直す。
「僕と同じ目に合えば」
アベルが驚いたような顔でこちらを見た。その瞳をじっと見つめ返してミモザは続ける。
「毎日毎日罵倒されて、暴力を振るわれて、これが一生続くんじゃないかって絶望してよ」
アベルの瞳に映る感情はなんだろうか?興奮状態のミモザにはわからない。
「できるものならやって見せてよ」
「………っ」
アベルが目をそらして俯いた。その傷ついたような態度に余計に腹が立ったが、いままでとは違い目を逸らしたのがミモザではなくアベルであったことに多少の溜飲が下がる。
以前までは、傷ついて俯くのはミモザだった。
(もう今までの僕じゃない)
強くなった。強くなったのだ。
(アベルマカ と はのことなんて、いつでも殺せる)
何度夢見たことか。自分の手でその顔を殴り、黙らせることを。それはもはや夢ではないのだ。やろうと思えばやれる。今のミモザならば。
(やらないけど!)
ふんっ、とミモザはアベルのことを鼻で笑ってやった。アベルのような『低次元な』レベルに合わせた行為をやり返すつもりはなかった。
「もう!ミモザ!どうしてそんな意地悪なことを言うの?」
そこに空気の読めない声がする。ミモザは半ば嫌々そちらを向いた。
「お姉ちゃん……」
「アベルはちゃんと反省してるんだから……」
「ステラっ!」
しかしその声を止めたのはアベルだった。彼は青白い顔で、しかしきっぱりと言う。
「いいんだ。俺が悪い。ミモザの言うことは正しい」
「アベル……」
ステラは瞳を潤ませて彼を見た。
(なんだこの空気……)
呆然と立つミモザに、チロはその肩をとんとん、と叩いて注目を促すと親指でくいっと校庭の中心あたりを指さした。
その目は、こいつらもう放っておいてあっち行こうぜ、と言っている。
ミモザはそれに無言でこくりと頷き、ゆっくり、ゆっくりと後退りをしてその場からいなくなろうとしてー…、
「ミモザっ!」
失敗した。ステラはミモザのことを真っ直ぐに見つめてくる。
猛烈に嫌な予感がした。
「この試合でわたしが勝ったら、アベルと仲直りしてちょうだい!」
予感は的中した。
。dha epa亜鉛 の サプリdha亜鉛 サプリ おすすめ
髪の毛をわ亜鉛 サプリ おすすめ
髪の毛をわし掴まれた。
「……いっ!」
声をあげるが止ゴーヤまればどんな目に遭うかわかからない。クロムぶちぶちと引き抜かれる音にまかせてミモザは走り続ける。
「はぁっ、はぁ……っ」
また石が飛んできて足や背中、肩などに当たる。
「……あっ!」
ちょうど踏み出した足に投げられた石があゴーヤ チャンプルーたり、ミモザは転んでしまった。手に持っていたランチボックスが地面に転がる。
ミモザは地べたに座り込んだまま周囲を見渡した。お昼時のせいかみんな家にこもっているのか、それとも畑へと出かけてしまっているのか、人影がない。
(誰か……!)
叫びたくても声が出ない。恐怖のせいだ。ミモザは弱い。前回は完全に身構えており、やることをあらかじめ決めていたからなんとかなったが、ふいに訪れた恐怖に恐慌状態に陥っていた。
「やっと捕まえたぞゴーヤ」
びくりと身を震わせる。振り返るとアベルが怒りに目を燃やして立っている。
「てめぇ、この間はよくもやってくれたな!」
そのまま至近距離から手に持っていた石をミモザへ叩きつける。
「……っ!」
鋭く尖った石はミモザの目の上あたりへとあたり、皮膚を切って血が流れた。
「なんとか言えよ!お前のせいで俺たちは全部めちゃくちゃだ!」
ミモザのせいではない。自業自得だと言いたいのに、ミモザの喉は震えた呼吸をか細く吐き出すばかりで声が出ない。
学校生活の数年間でミモザの中に植え付けられた恐怖がミモザの身体を動かなくしていた。
そこからはもうリンチだった。4人に囲まれて石を延々と投ゴーヤげつけられる。
ミモザは頭を守ってうずくまるしかできない。
ミモザの前方に家があった。声をあげれば届きそうなのに届かない。誰か出てきてくれないかと願うがそんなに都合の良いことは起こらない。
いつだってそうだった。いままでずっと。
閉じられた教室の中で誰も助けてくれなかったように、今も誰も助けてくれない。
変わったつもりだったのに、ミモザは何も変わらずうずくまるしかできない。
(誰か)
手を地面へと這わせる。何かに縋りつきたい。
(誰か来て……っ)
気づいて欲しい。ミモザの存在に。
涙で歪んだ視界に、転がるランチボックスがうつった。
守らなきゃ、漠然と思う。これを届けなければいけない。だってあの人が待っている。
ミモザを無価値ではないと初めて言ってくれた人がお腹を空かせて待っている。
「レオン様……」
「え?」
異母兄の名前にアクロムの効能ベルの手が思わずというように止まる。弾幕のように飛んできていた石が一瞬止まり、その隙にミモザは地面の石を掴んだ。
「な、なんだよ……」
そのまま手を振り上げたミモザに怯むようにアベルは後退る。
そのアベルを無視して背中を向けるとミモザは石を投げつけた。
前方に見える、家の窓へと向かって。
ガシャンッ、と派手な音と共にガラスが割れる。
「……なっ!」
「こらぁ!クソガキども!何してくれやがる!!」
家主の男は窓の割れた音に家の奥から姿を現し、状況を見て取って怒鳴った。
。亜鉛 サプリクロムの効能
「精霊とのマカ サプリ
「精霊との親和性がdha epa dha高いということはどういうことかわかるか亜鉛 の サプリ?」
故郷の森で、昼食のサンドイッチを頬張りながらレオンハルトは聞いてきた。
ミモザもその隣に座ってサンドイッチを食べながら首をひねる。
「精霊との親和性が高いとその分ゴーヤ意思の伝達がスムーズになる。つまり、技を出す速度が速く、そしてコントロールが緻密にできる」
ミモザが何かを答えるよりも早く正解は示された。彼はこういうところがある。少しせっかちなのだ。
「ーーとはいえ、速度などコンマ数秒の差だがな、しかしそのコンマ数秒の差が勝負の世界では命運をわける」
「つまりそれが僕の強みですか?」
そマカ サプリうだ、と彼は頷く。
「メイスというのは本来、致命的な弱点があるんだがそれが何かわかるか」
「うーん、重い?ってことですか?」
「そうだな、重くてでかい。だから攻撃が大振りになって軌道が読みやすく、一撃は重たいが攻撃した際に隙ができる。だから攻撃を避けられてしまうとその隙を突かれる」
そこでレオンハルトは一度言葉を切ると、射抜くように鋭い視線でミモザを見た。
「しかし君のメイスは違う」
息を呑む。今、レオンハルトはミモザのことを弟子としてではなく対等に戦う相手として分析しているのだとわかった。重苦しい敵意がミモザの全身を突サプリメント マカき刺す。
「棘があるだろう。ただでさえ親和性の高さゆえに早いのに、その上0から生み出しているわけではないからさらに予備動作なしで棘がつき出てくる。振りかぶったり振り下ろしたり、本来なら隙になる動作をしていてもその姿勢から変幻自在に棘を伸ばして攻撃できる。つまり君の武器は近接戦闘においては最強レベルだ。下手をすれば、俺でも負ける可能性がある」
その時のレオンハルトはミモザを仮想敵としてどう相手取るのがいいかを考えていたのだろう。聖騎士になるということは彼を倒すということでもあるのだとミモザはその時初めて実感を伴って理解した。
この目の前の最強の騎士の恐ろしさを。
ーーつまり、どういうことかというとミモザは、
近づけなければ勝てないのである。
(やべぇ)
ミモザは冷や汗をか亜鉛いていた。
正直舐めていたのだ。ステラには一度卒業試合で勝っていた。だから今回もうまくやれば勝てるだろうと思っていた。
(甘かった)
ちっ、と舌打ちをする。ミモザの足元には白銀の氷が無数に広がり、徐々にその機動力は削がれていっていた。
前回の試合、あれでおそらくステラは学んだのだ。ミモザに距離を詰めさせてはいけないと。そしてしっかりと対策をとってきた。
「……くっ」
光線銃が放たれる。避けるミモザの足元を目掛けて氷の破片が突き刺さった。それから逃げようと更に足を踏み出すが、地面が氷に覆われていて足の踏み場がないことに気づき、ミモザはメイスでその氷を破壊してすんでのところで回避する。
そうこうしている隙にステラの光線銃のチャージが完了してしまう。涼しい顔をして立つ彼女の周囲にはストックの氷の破片が次々と補充されつつあった。
これである。
彼女の底なしの魔力から次々と補充されていく魔法攻撃のストックが減らないのだ。これにより間クロムの効能髪入れない攻撃が続き、防戦一方のミモザは接近することができない。
それだけなら持久戦で相手の魔力が尽きるのを待つという手がミモザには使えるが、故意か偶然か、彼女はそれを封じるように足場を凍らせてミモザの逃げる場所と体力をじわじわと削り取ってきていた。
逃げる場所がなくなるか、氷に足を取られればミモザの負けである。
(どうしよう?)
また光線銃が飛んでくる。ミモザはそれをかろうじて避ける。その足元に再び氷が突き刺さる。
「くっそ……っ」
棘を伸ばして攻撃を仕掛けてみるが軽いステップでそれは簡単に避けられた。やはりミモザの攻撃は遠距離では効果を発揮できない。
一応ミモザにも一般的に誰にでも使える衝撃波を放つという遠距離攻撃はある。しかし魔法の撃ち合いになればMPが先に尽きるのはミモザである。正直ステラ相手では勝ち目がない。
では一度後方に下がって遮蔽物を利用して背後から近づき不意打ってはどうか、と考えて周囲を見渡すが、周りには岩が点在するのみで岩と岩の間を移動する姿が見られてしまうため、不意打ちは困難マカ サプリそうだ。
防御形態であれば攻撃を防ぐことだけはできる。しかし防御形態は強力ではあるが止まった状態でしか使えないという欠点があり、これも接近する手段には使えない。
(なら……っ)
ミモザはチロを防御形態へと変える。ミモザの前方に攻撃を防ぐように棘の突き出した半球状の盾が現れた。
「あら?もう降参?」
それを見てステラはふふっと花のように笑う。その青い瞳が喜びに輝く。
「いいのよ、ミモザ。貴方はわたしよりも弱いんだから」
ステラがミモザを断罪するようにレイピアを突き出して見せる。氷の破片が狙いを定めるように前方へとぐっと寄った。
「強がらなくて、いいのよ」
言葉と共に、光線銃が放たれた。
「……ぐっ」
ミモザの盾はなんとかその攻撃を耐え忍んだ。そしてステラが次に氷の破片を放つその前の一瞬の隙に、
ミモザは防御形態のまま、その棘を伸ばした。
「………っ!?」
ステラはそれを避ける。しかし動揺したのか本来ならミモザ目掛けて放たれるはずの氷の破片は明後日の方向へと飛んでいった。
それを待っていた。
正直防御形態での棘の伸縮など普通の攻撃よりも射程範囲が狭く貫通力もない、ただの一発芸みたいなものだ。しかしその一発芸でステラは今、光線銃も氷の破片もストックがない状態へと陥っていた。
「うおおおおっ!」
亜鉛 サプリ雄叫びを上げてミモザはステラへと突進する。ステラが魔法を生成する前、その前に近づければミモザの勝ちだ。
(間に合え……っ)
あと数歩でステラにメイスが届く、そのタイミングで、
「……っ、くそっ!!」
ミモザはメイスで氷の破片を弾いた。次々と氷の破片がステラを守るように囲み、ミモザの元へと飛来する。ミモザはそれを弾きながら後退するが、
「………っ!」
(しまったっ!)
間に合わなかった。その動揺が足に出た。ステラがそこら中に張り巡らしていた氷の残滓に足を取られてミモザはよろめく。
それを見逃すステラではない。
「行け!」
ステラの鋭い声とともに、氷の破片がミモザへと目掛けて発射された。
「ーーーっ!」
ミモザは体勢を崩しながらも致命傷だけは避けようとメイスを前に突き出した。氷の破片が突き出したミモザの手に当たるかと思われた次の瞬間、
「………え?」
目の前に土の壁ができていた。
ミモザの隠れた魔法属性が危機に反応して目覚めたーー、わけがない。
「もういいでしょう」
その爽やかな青年の声はミモザの背後から響いた。
「単なる兄弟喧嘩なら放っておきますが、犯罪行為の隠蔽を暴力によって強要する行為は見逃せません」
整えられた黒髪が風に揺れる。真っ直ぐな黒い瞳ははっきりと非難の意味を込めてステラのことを見据えていた。
ジーンである。
彼は手にした剣を構えながら尻もちをついたミモザを庇うように前へと歩み出た。
「ミモザさんは確かに金髪美少dha女らしからず、品性の欠片もないことを言うしやるし奇行に走りますが、けれど道理に反したことは致しません」
ジーンはその剣の切先を敵意を示すようにステラへと向ける。
「貴方も同じく金髪美少女らしからぬ方のようですが、ミモザさんの方がよっぽどましです」
「…………」
ミモザはいろいろと言いたいことはあったが、空気を読んで黙っていることにした。
。マカ サプリマカ と はゴーヤゴーヤ チャンプルー
「……っ!」 「マカ
「……っ!」
「なにを……っ!」
ミモザの言葉に横で話を聞いていたマシュ亜鉛 の サプリーが思わずというように声を上げた。ミモザ亜鉛の効果はその反応にちょっと驚く。ちらりと彼のことを横目で見つつ、言葉を続けた。
「あなた方はもっと、自分が相手と同じ土俵に立っていないということを自覚すべきだ」
「……同じ土俵?」
今にも食ってかかりそうなマシューを手で制し、ジ亜鉛の効果ェーンが尋ねる。ミモザは頷いた。
「ええ、責任を取る立場に」
ぐるりと見回す。ジェーンにマシュー、ジーン、そしてロランだけがにやにやとした顔でこちらを見ていた。
「今後、塔を閉鎖したことにより騎士が弱体化し、他国に攻められることになったら?塔を観光資源として利用し商売を行っている人達の今後の生活は?他にもいろいろありまdha epa dhaすが、教会はそれに対しなんらかの対応を迫られることになるでしょう。それに対しあなた方はどうでしょうか。その生涯をかけて塔を閉鎖したことによって起きる不利益に対応してくださるのですか?それともなんらかの対応策をすでに考えて用意してくださっているのでしょうか?」
「……それはっ」
「もしもそうでないのなら、あなた方は自分の行いに責任を取る気がないということだ。自分の要望は押し通して、自分たち以外の人が困っても知ったことじゃないと開き直る」
「そんなつもりじゃ……」
「ではどういうおつもりですか」
うめくマカマシューにミモザは問いを投げつけた。彼は言葉に詰まって黙り込む。それにミモザは首を振った。
「教会は、真っ先に非難の的になる立場です。責任逃れはできない。別に同じ立場になれと言うつもりはありませんが、同じ立場ではないということは自覚すべきだ。その上で人の評判や命を脅しに使って我を通そうというのなら、それは好きにしたらいい」
そしてもう一度みんなを見回す。ミモザが見られているのは変わらないが、ジェーンとマシューの顔色は真っ青に染まっていた。
「けれどそれは悪業だと自覚して欲しい。今回の件は教会や国、そしてあなた方、それぞれの正義や信念のせめぎ合いなどという高尚なものではなく、ただの意地が悪い人達の欲望とdha epa dha悪意の応酬です。だから、まるで自分達だけは善人かのように振る舞うのはやめてもらいたい。自分の欲望のために悪いことをすると決めたなら、しらばっくれた態度を取るにせよ、開き直るにせよ、そこはちゃんと自分達は自分達の意思で悪いことに手を染めているのだと理解しておいていただかないと……」
ミモザはそこでいったん言葉を切って首をかしげる。言おうかどうか迷った後で、ここまで言ってしまっては気遣うにしても手遅れか、とそのまま率直な意見を口にした。
「悪い事をしたという自覚もなく相手を攻撃するのはあまりにも卑怯だ。これが僕の考えです。えっと、ご満足いただけましたか?」
「貴重な意見をありがとう。……とても、参考になったわ」
ジェーンは気丈にそう言った。けれどミモザが彼女のことを見てももう目線は合わない。その反応にミモザは嘆息する。
「ええと、なんかすみません。決してあなた方を非難したいわけではないのです。いや非難しアントシアニンの効果たいのかな」
ミモザは迷いながら言う。なんとも悩ましい。
「僕は娘を亡くした母の気持ちはわからないと言いましたが、目的のために悪どい手段を使いたいという気持ちはわかるんです。僕もあなた方と同じ『悪い人』ですから」
今現在、姉から聖騎士の座を奪うためにゲームを参考にするというズルをしているミモザだ。そのことに関してはシンパシーすら感じる。そこで過去に言われたレオンハルトの言葉をミモザは思い出した。
「だから、ええと、そのぅ、もう少し『うまくやって』行きましょうよ。お互いに自分の我欲のために動いているんです。本音と建前をごっちゃにするからこんがらがる。僕たちは悪い人同士、もう少しわかりあえるはずです」
ミモザは手を差し出した。ジェーンは戸惑ったように足を半歩引く。
「実は、僕とあなた方の利害は相反していないのです。僕の仕事はあなた方を守ること。だからいくらでもここに滞在していただいてかまいません。何時間でも何日でも何週間でも何ヶ月でも、僕が必ず守ります。……ですが、やはり家とは違ゴーヤいますから。物資は限られていますし襲われ続けるストレスはあるでしょう。ですからあなた方が心身を疲弊して、まともな判断ができなくなった頃にーー」
ミモザは蕾が花開くように、綺麗に微笑んだ。
「保護させていただきますね」
それはぞっとするような笑みだった。
きっと、レオンハルトならうまいこと口八丁で丸め込むのだろう。姉なら優しく諭すかもしれない。
しかし、それが出来ないミモザは。
真綿で首を絞めるように、生かさず殺さずただ待つことにしたのだ。
ーー彼らが根を上げるまで。
。亜鉛の効果アントシアニンの効果ゴーヤ
それはチャdha epa
それはチゴーヤャイムが鳴って1時間目の授業が終わった時のことだった。サプリメント マカ次の授業の準備のための短い休憩時間にがらりと音をたてて唐突に教室のドアが開いた。
開けたのはミモザである。
ショートカットのハニーブロンドには天使の輪がかかり、憂鬱そうに伏せられた瞳は冬の湖面のように深い青色に澄んでいて美しかった。ゴーヤ チャンプルー雪のように真っ白な肌は透き通っているが血の気が引いたような白さで、その外見の美しさも相まってまるでよくできた人形のようだ。これで服装がもっと華美であればますます人形のように見えたのだろうが、彼女はいつも暗い色のシンプルなシャツと半ズボン、そして黒いタイツといった少年のような格好をしていた。その容姿と服装の奇妙なアンバランスさは彼女に不思議な近寄りがたい雰囲気を与えていた。
(戻ってきたのか)
アベル亜鉛 サプリは意外な気持ちで彼女が静かに自身の席へと戻るのを眺めた。
変な言葉を叫んで飛び出していったから今日はもう家に帰るのかと思っていたのだ。しかし戻ってきたということはそうはできなかったのだろう。
(そりゃそうか)
普段より早く家に帰れば理由を聞かれるだろう。これまでミモザが親に一度も学校での出来事を話していないのは当然知っている。
(ステラにはチクったみたいだが…)
ち、と軽く舌打ちをする。幸いにもステラは素直でお人好しな少女だ。アベルが誤解だと誤魔化すとそれを信じたようだった。
ステラ。あの美しい少女を思い浮かべるとアベルは幸せな気持ちになる。双dha epa子なのに根暗で生意気なミモザとは似ても似つかない。
アベルだって最初からミモザを蔑ろにしていたわけではない。学校に通い始めた当初、近所に住んでいて元々仲の良かったステラに「妹のことをお願いね」と頼まれて最初のうちは仲良くやっていたのだ。
しかし入学してから初めて知り合ったステラの妹はどうにも生意気な奴だった。ステラの話題を出すと「僕じゃなくてステラと話しなよ」と突き放すようなことを言い、春の感謝祭で一緒にダンスを踊りたいからステラを誘ってほしいと頼んでも「自分で誘いなよ。僕は関係ないよね」とケチなことを言う。
出来ないから頼んでいるというのにだ。
ステラは人気だ。ミモザと違い明るく誰に対しても分け隔てなく優しいステラはみんなに好かれていた。「お前も同じようにしろよ」と忠告をしたゴーヤこともあったがミモザはその言葉に嫌そうに顔をしかめるだけだった。「せっかく仲良くしてやってるのに!」と言うと「別に頼んでない」などと恩知らずなことを言うので仲良くするのをやめたのだ。
アベルは近くで喋っていた特に仲のいい3人を目線で呼ぶと、連れ立って席を立った。目指すのはミモザの席だ。
「おい」
次の授業の準備をしているのか机の引き出しをいじっているミモザの顔を上げさせるために机を軽く蹴りつける。彼女はわずかに身を震わせるとうかがうようにこちらを見上げた。
その怯えた態度に自尊心が満たされる。
自分の肩にとまった相棒の鷲の守護精霊も喜ぶように翼を一度広げてみせた。
「よう。どこいってたんだ?」
にやにやと笑って問いかけるとミモザは怯えたようにこちらを見て、しかしすぐに無言のまま視線を逸らした。その手は再び準備のために筆記用具や教科書を机の上に並べ始める。
無視だ。
その事実に苛立って改めて机をがんっと少し強めに蹴り上げマカ サプリる。
彼女は助けを求めるようにわずかに視線を彷徨わせたが教室にいる誰も彼女と目を合わせようとしなかった。
担任の教師もだ。
まだ新任の若い男教師は周囲からの評価を気にしてアベル達のこの行為を容認していた。クラスの他の生徒達もだ。アベルはこの学校の生徒達の中で誰よりも立場が高い。
アベルには腹違いの兄がいる。その兄はこの国で最強の精霊騎士に与えられる称号である聖騎士を賜るレオンハルトである。
残念ながら母親が違うため同じ家で育ってはいないが、レオンハルトはいつもアベルのことを気にかけてくれて忙しい仕事の隙間を縫ってはアベルに会いに来てくれていた。この田舎の村ではそれは間違いなくステータスであり、アベルは同年代の子どもの中では尊敬を集めていた。
「助けなんてこねぇよ」
ふん、と鼻で笑ってやる。このクラスはアベルの小さな王国だった。
「それよりお前、ステラにちくったろ」
ミモザが顔をしかめる。その様子に気をよくしつつ、アベルはばんっ、と勢いよく机に手を振り下ろす。
その音にミモザの肩が揺れた。
「ちゃんとイジメなんかしてねぇって伝えといたからな。お前がどうしようもないdhaバカで間抜けだから手伝ってやってるだけだって。もしかしたらイライラしてきつくなったことはあったかも知れねぇって言ったら納得してたよ。お前も帰ったらバカなこと言わねぇで自分が悪かったんだって言えよ!」
ふん、と鼻息荒く告げる。
(これでいいだろう)
臆病なミモザのことだ。これだけ脅してやればもう逆らおうという気など起きないに違いないと、アベルは満足して身を翻そうとして、
「馬鹿じゃないの」という小さな声に動きを止めた。
「なんだと?」
声の主はミモザだ。彼女は身を震わせながらもゆっくりと顔をあげた。
その目は強くはっきりとした交戦の意思を宿している。
「どこの世界にいじめられるのを自分のせいだと家族に言う奴がいるの。僕がいじめられてるのはお前達加害者のせいであって僕は何一つ悪くない」
頭にカッと血が上る。逆らえるはずのない相手からの反抗がアベルには許せなかった。
「……いっ!」
「てめぇ!調子に乗りやがって!!」
強い力でミモザの髪を引っ張る。ちょうど机を挟んで対峙していたためミモザは机の上に乗り上げるような形になった。彼女の髪がぶちぶちと音をたてて引きちぎられる。
言葉もなくうめくミモザにアベルは笑う。どんなに言葉で賢しいことを言おうとこんなものだ。結局ミモザはアベルに敵わないのだ。
そろゴーヤそろ休憩時間が終わりそうだ。許してやるかと髪から手を離そうとした瞬間ーーミモザと目が合った。
苦痛に歪んだ顔でけれどその口元がわずかに笑みの形に歪む。
「なん……っ」
だ、と言いきる時間はなかった。
そのままミモザは勢いよく机を掴むと乗り上げた身体ごとアベルのいる方へと机をひっくり返す。
ぎょっとしてアベルは手を離して後退った。
派手な音が響いて机とともにミモザが床へと倒れ伏す。
床の上へはあらゆるものが散乱していた。ミモザへの悪口で埋まる真っ赤な紙、ガラスの破片、無数の刃物、引きちぎられた金糸の髪、そしてその上へ倒れ込んだせいで傷ついたミモザの血痕。
その上に大の字で寝そべる彼女は美しく、凄絶に笑った。
「誰か助けて!!」
そのまま大声で叫ぶ。
ぎょっとしたように教室の中の空気は止まり誰も動けない中で
「一体何事だ!?」
隣のクラスの担任教師が慌ててかけつけてドアを開いた。
彼はそこに広がる光景を見て数秒絶句し、けれど数秒だけだった。
すぐに彼の怒号が響いた。
。亜鉛 サプリ おすすめアントシアニンの効果dhaアントシアニン
レオンハルト亜鉛 サプリ
レオンハルトとの出会いからゴーヤ チャンプルー3ヶ月後、ミモザは、
「ふんふんふんふん!」
腕立て伏せ100回も軽く亜鉛 の サプリこなせる細マッチョへと華麗なる変身を遂げていた。
「ふんふんふんふん!」
腹筋もなんのそのである。お腹にはうっすらと線が入り夢のシックスパックである。
「ふんふんふんふんふん!」
ダンベルなんて高ポリ ペプチド価なものはないので森から調達した岩を上げ下げする。最初は手のひらサイズの岩でぜいぜいと息を切らせていたが、今は自分の上半身くらいの大きさの岩も軽々とはいかないが持ち上げることができる。
「ふんふんふんふんふんふん!」
ランニングもなんのそのだ。村の外周10周くらいは朝飯前だ。
「ふんーっ!!」
ブシャァアア!
ミモザはりんごを両手で握り、気合を入れて握りつぶした。コップの中へとばらばらとポリ ペプチド落ちていくのを見守り、コップを掴むとそのまま豪快に天然100%りんごジュースをごくごくと飲み干す。
「ぷはぁっ!最高の気分だ!」
実に清々しい。
筋肉を身につけてからのミモザは内面が明るくなるのを感じていた。自信がついたのだ。
「力こそパワー!筋肉は裏切らない!!」
きゃっきゃっとはしゃぎながらミモザは森へと繰り出した。
ちなみにこの3ヶ月間、レオンハルトの来訪は一度もない。
*
どうしてこうなったのだろう。
だらだらと脂汗を垂らしながら、数時間前の浮かれていた自分のことをミモザは嘆いた。
ミモザの目の前には今、亜鉛 サプリ おすすめ
「ウルルルルゥ!」
低い唸り声を上げ、両腕を挙げて威嚇する熊型の野良精霊がいた。
途中まではいつも通り順調だったのだ。
森の浅瀬でここ最近ですっかり慣れ親しんだうさぎ型の野良精霊と戯れ、一月前あたりから攻略を開始した森の半ば周辺で犬型の野良精霊を狩る。
12匹ほど狩り、のんびりと魔導石の採取をしていたところで異変は訪れた。
まだミモザが足を踏み入れたことのない森の奥の方から大量の野良精霊が現れたのである。
「は?」
驚きつつも身構えるミモザのことを、しかし彼らは無視して通り過ぎていった。
まさに台風一過、土埃を巻き上げて彼らは去って行った。
「一体なんだったんだ?」
その勢いに気押され走り去る姿をすっかり見送ってから、ミモザは呑気に彼らが走って来た方角を振り返りーー、
そこに3つの紅い目を光らせどす黒いオーラを身にまとい、仁王立ちをしている巨大な熊クロムの野良精霊の姿を見た。
「………え?」
そして今、話は先ほどの場面へと戻る。
突然現れた大物に、ミモザはメイス姿のチロを握りしめて立ち尽くしているのであった。
(というかこいつ、ゲームのイベントで登場する中ボスでは?)
その明らかに狂化個体である熊を見て思う。確かステラ達が最初の試練の塔に向かう途中に現れる序盤の中ボスだ。
さて、ステラ達は一体どうやって倒していたんだったかと考えている間に、
「グアアラァ!!」
その熊の野良精霊は挙げていた両腕をミモザに向かって振り下ろしてきた。
「………っ!」
慌てて後ろに飛び退き避ける。
「このっ!」
ちょうどミモザが避けたせいで熊は両腕を地面につくような姿勢になり隙ができた。それを見逃さずミモザはメイスを横殴りにその顔面へと叩きつける。
「……っ!?かったい!」
しかしそれは骨に当たる鈍い音を立てただけで終わった。熊の頭は確かに殴ったはずなのに向きを変えることもなく、紅い目がぎょろりと動いてミモザを睨む。
その亜鉛の効果まま頭を一瞬低く下げると下からすくい上げるようにしてミモザのことを頭突きでメイスごと吹っ飛ばした。
身体が宙に浮く。熊は飛んだミモザがどこに落ちるのか確認するようにこちらを眺めていた。
このままでは川から跳ね上げられた魚のように美味しくいただかれてしまう。
「このやろう」
ミモザは悪態をつくとメイスを振りかぶり棘を伸ばして少し離れた木へと刺す。そのまま棘を縮めると刺さった木に吸い寄せられるようにして枝の上へと着地した。
「ウルルルルルルルッ」
大人しく落ちて来なかったことに怒ったのか、唸りながら熊はミモザの着地した木の幹へと突進した。何度も頭を打ちつけてくるたびに幹は悲鳴を上げ折れるのも時間の問題だろう。
(うへぇ、どうしようかな)
とうとうバキィと小気味良い音を立てて木は真っ二つに折れた。
熊はこちらを目掛け大きな口を開けて歓喜の咆哮を上げる。
ミモザはというとメイスを足場にするように自身の身体より下へと向けるとそのまま棘を伸ばし、落下速度と全体重をかけてその棘を熊の口の中へと突き刺した。
さすがに口腔内はそこまでの強度がなかったらしい。熊は直立したような姿勢で串刺しとなり、しばし蠢いたのち絶命した。
「うわー、えぐー」
足元に広がる光景に自分でやってマカ サプリおきながらミモザはちょっと引いた。
地面へと飛び降りるとチロをメイスから鼠へと戻す。
「これ、やっぱりイベントの奴だよなぁ、なんだってこんなタイミングで。フライングなんてレベルじゃ……」
言いかけてハッとミモザはあることに気がついた。
(これ、倒して良かったのか?)
本来なら姉が3年後に倒すべき相手である。
(ストーリーになにか影響があったら……)
ミモザは元々のストーリーを頼りに対策を打っているのである。もしチロの狂化のように今回の件で何かが早まってしまうとそれだけでミモザの修行が間に合わなくなってしまう可能性がある。
「ど、どうし…」
よう、と言いかけて、ミモザの言葉は途切れた。
何故ならがさがさと草むらが不穏な音を立て始めたからである。
ミモザはその草むらの動向を見守った。
がさり、と一際大きな音を立てると何かがでてくる。
それは先ほど倒したのと同じ、紅い目が3つあるどす黒いオーラを放った熊だった。
全部で10匹くらい居た。
。dha epa dha亜鉛マカ サプリ
若い娘が楽しdha
若い娘が楽しクロムの効能そうにはしゃぐきゃっきゃっと明るい声が響く。
そこは王都のメインスゴーヤトリートに面した雑貨屋だった。生活や冒険に必要な物資やそれとは別に装飾品や化粧品なども売っていたりする店だ。店は若い娘も入りやすいような清潔でおしゃれな内装をしていた。
「ねぇ、見て! これ可愛い!」
ステdhaラは黄色い石のついたネックレスを手に取る。
「これ、こんなに可愛いのに魔道具なんですって。えっと、幻術を見せる魔道具……?」
ネックレスにつけられたタグの内容を読んだ後、彼女は自分の胸元にそれを当ててみせた。
にっこりと花のように微笑む。
「どうかしら?」
「よく似合ってるよ」
言ったのはマシューだ。彼は微笑ましいものを見るように目を細めている。
その時スッゴーヤ チャンプルーと一人の青年が前に進み出てそのネックレスを奪うとお会計のレジへと無言で持っていった。
「ジーンくん!」
驚くステラに、彼は振り返ると照れくさそうに笑った。
「よければプレゼントしますよ」
「えっと、でもそんなの悪いわ」
遠慮するステラに彼は微笑むとたった今購入したネックレスをステラの首へと持っていった。
「どうか受け取ってください。僕のためだと思って」
そうしてネックレスをつけてあげようとして、
「あ、あれ……?」
金具の外し方がわからず四苦八苦する。
それにステラはくすりと笑うと「貸して」とネックレスを受け取って金具を外した。
「え、えーと、すみません、慣れアントシアニンの効果てなくて……」
「ねぇ、ジーンくん、つけてくれる?」
ここの金具をこうするのよ、と実際に実演してみせてからステラはネックレスをジーンに渡した。
「ね、お願い」
そして、ん、と首を差し出す。
「……では」
それにジーンは多少照れたように頬を紅潮させながらも真剣な顔を作って今度こそネックレスをつけた。
「ありがとう」
ステラが微笑む。
サファイアの瞳が喜びにうるんで美しかった。
「…………」
アベルはその様子を少し離れた位置で眺めていた。その表情は場所にそぐわず険しい。
「アベル!」
そんな彼の様子に気がついたのか、ステラは駆け寄るとネックレスを見せる。
「どう?似合ってる?」
「……ああ、おまえはなんでも似合うよ」
その気のない声にステラは頬を膨らます。
「もう、アベルったら変よ」
「……そうかもな」
「あ、そうだ!」
ステラは何かポリ ペプチドを思いついたように自身のバックを漁ると何かを取り出して差し出す。
「元気のないアベルには美味しいものをあげるわ! ほら、あーん」
そう言って彼の口もとに押し付けられたのは、飴だった。可愛らしいピンク色の、ハートの形をした飴だ。
彼はその飴を見てわずかに躊躇したが、結局は口を開く。
「美味しい?」
「………ああ」
アベルは忌々しげにその飴をがりっと口内で噛み砕いた。
ミモザはのんびりと夕方の王都を散策していた。『黒い密売人』との交戦が決まってしまったため、どのように戦おうかと作戦を練っていたのである。
はっきり言って本物の犯罪者と戦うのは保護研究会のロランという老人以来となる。しかもあの時はレオンハルトが駆けつけるのが前提の上、ジーンもいるという状況だった。その上ロランはそこまで好戦意欲の高い人物ではなく、かなりの時間を戦わずに潰すことが出来たが、今回はそうはいかないだろう。
(遭遇した時点で戦闘になるかな)
まだ相手がミモザのことをステラと誤認している状況のうちに不意打ちで倒せればいいが、それをしくじ亜鉛 サプリった場合の対処も考えておかねばならない。
レオンハルトはああ言ったが、信号灯を灯した時点で相手は逃げる可能性は高いし、今回仕留め損なえば次はミモザの前には姿を現さないだろう。
(一回しか騙されてくれないだろうしなぁ)
さすがに二回もステラとミモザを間違えさせるのは無理だろう。なんなら合言葉なりなんなりの対策を取られてより姿を捕捉しづらくなるかも知れない。
(一回でけりをつけたいよなぁ……)
ふぅ、と息を吐く。相手はミモザよりも対人戦闘に慣れている可能性が高い。準備はし過ぎるほどにしたほうが良かった。
(………ん?)
視線を感じる。
王都はミモザ達の故郷より遥かに人が多い。しかしそれに比例するように人の動向に無関心でもあった。このように見つめられるのはレオンハルトと共に行動している時以外では初めてだ。
その視線の主が背後から近づいてくる気配を察して、ミモザは警戒しつつゆっくりと振り向いた。
「………よぉ」
「……アベル?」
そこにはアベルが立っていた。
藍色の髪に金色の瞳。歳を経るごとにレオンハルトに近づきつつあるその外見は、もしかしたら父親似なのかも知れなかった。
ミモザは彼のことを疑うようにじーと見る。
「なんだよ」
その視線にアベルは居心地悪そうにミモザのことを睨んだ。アントシアニン
「いや、脳みそパーになってないかなって」
「なってねぇよ」
その返答にミモザはあれ? と目を見張る。
「なんで?」
「俺が聞きてぇよ」
そこまで聞いてミモザは思う。この会話は意味不明だ。やり取りとして成立していない。
大前提として『あの飴』の存在を知らなければ。
「ラブドロップ」
ミモザは切り込んだ。
「食べてないの?」
「食ったよ」
「ーーなら、」
「だから知らねぇよ!」
憤懣やるかたないという様子でアベルは怒鳴る。彼の精神はもうギリギリだったのかも知れない。その様子はふちのふちまで表面張力ぎりぎりで水を注がれたコップのように、感情が決壊して流れ出したようだった。
「俺が、元からステラに惚れてるからじゃねぇの? 惚れ薬飲んでもなんにもかわらねぇってことはよ」
悔しげに、苦しげに彼は声を絞り出した。
「いっそのこと、脳みそパーになりたかったよ、俺だって」
二人の間に沈黙が落ちた。ここでするような会話じゃないなとミモザは思ったが、だからと言ってじゃあどこなら相応しいのかもわからない。
こんなどうしようもなくやるせない話をするのに相応しい場所など、もしかしたらこの世には存在しないのかも知れなかった。
「なぁ、ミモザ、お前もあの飴のこと知ってんのな」
「まぁ……」
「ーーってことは兄貴も知ってるよな、はは……」
「………」
「お前言ったよな、ステラの敵だって」
「うん」
「……っ! なんでそんなに割りdha epa dha切れんだよ……っ!!」
耐えきれないというようにアベルは顔を歪めて叫ぶ。
「確かにあいつは間違ってる。悪いことをした。あいつおかしいよ、言ってもわからねぇんだ、わかってくれねぇんだよ、俺じゃ、あいつを止められねぇんだ」
そして力無く俯く。拳を握っても振り上げることも出来ず、アベルは首を振る。
「けどさ、だからといってすぐに嫌いになんてなれねぇんだよ。今までのこと全部なかったことに出来ねぇんだよ。ずっとガキの頃から一緒にいるんだ。あいつは優しかった、優秀だった、格好良かった、それも全部本当なんだよ! なかったことにはならねぇんだよ!」
そこまで言って、アベルは興奮に激しくなった呼吸を整えるように黙り込んだ。そして言う。
「なんでそんなに割り切れんだよ……」
それは疑問ではなく批難の言葉だ。自分一人だけ楽な場所にいるミモザを責める言葉だ。
「……割り切れないよ」
ミモザにはどうしようもない。アベルの苦しみはアベルが自らの意思で選び取った結果だからだ。
そして同時にミモザの良心の呵責もまた、ミモザが選び取った結果だ。
「でも、割り切るって決めたんだよ。……僕が、僕であるために」
のろのろとアベルは顔を上げた。その顔は先ほどまで興奮していたはずなのに血の気が引いて真っ白だ。
「そうかよ……」
「アベル、どうするつもり?」
ミモザはアベルが嫌いだ。けれどもしもステラの罪を告発して保護を求めるならどこかその辺の騎士に口聞きをしてやっても構わない。
そうすることで、きっとステラは色々なことを思い留まるかも知れない。
「……俺はあゴーヤいつを見捨てられねぇ」
しかしアベルは首を振った。
「どんな罪を犯しても、最低でも、最悪でも、あいつが悲しんだり酷い目にあったり、一人っきりで泣かせる気にはなれねぇんだ」
ミモザのことを睨む。その目には先ほどにはなかった強い意志が宿っていた。
痛みを覚悟した意志だ。
「説得は続ける。けど、あいつが犯した罪を、あいつ一人に背負わせることは俺にはできねぇ。……ミモザ、俺は」
アベルはしっかりと自分の両足で立ち、姿勢を正した。金色の瞳に炎が灯る。
「どこまでもステラの味方だ。そう決めた」
「……そう」
ミモザにはそれを止めることは出来ないだろう。それだけは理解できた。
。ポリ ペプチド亜鉛クロムマカ
髪の毛をわし掴dha epa
髪の毛をわし掴アントシアニンまれた。
「……いっ!」
ゴーヤ 声をあげるが止まればどんな目に遭うかわかからない。ぶちぶちと引き抜かれる音にまかせてミモザは走り続ける。
「はぁっ、はぁ……っ」
また石が飛んできて足や背中、肩などに当たる。
「……あっ!」
ちょうど踏み出した足に投げられた石があた亜鉛 の サプリり、ミモザは転んでしまった。手に持っていたランチボックスが地面に転がる。
ミモザは地べたに座り込んだまま周囲を見渡した。お昼時のせいかみんな家にこもっているのか、それとも畑へと出かけてしまっているのか、人影がない。
(誰か……!)
叫びたくても声が出ない。恐怖のせいだ。ミモザは弱い。前回は完全に身構えており、やることをあらかじめ決めていたからなんとかなったが、ふいに訪れた恐怖に恐慌状態に陥っていた。
「やっと亜鉛捕まえたぞ」
びくりと身を震わせる。振り返るとアベルが怒りに目を燃やして立っている。
「てめぇ、この間はよくもやってくれたな!」
そのまま至近距離から手に持っていた石をミモザへ叩きつける。
「……っ!」
鋭く尖った石はミモザの目の上あたりへとあたり、皮膚を切って血が流れた。
「なんとか言えよ!お前のせいで俺たちは全部めちゃくちゃだ!」
ミモザのせいではない。自業自得だと言いたいのに、ミモザの喉は震えた呼吸をか細く吐き出すばかりで声が出ない。
学校生活の数年間でミモザの中に植え付けられた恐怖がミモザの身体を動かなくしていたゴーヤ。
そこからはもうリンチだった。4人に囲まれて石を延々と投げつけられる。
ミモザは頭を守ってうずくまるしかできない。
ミモザの前方に家があった。声をあげれば届きそうなのに届かない。誰か出てきてくれないかと願うがそんなに都合の良いことは起こらない。
いつだってそうだった。いままでずっと。
閉じられた教室の中で誰も助けてくれなかったように、今も誰も助けてくれない。
変わったつもりだったのに、ミモザは何も変わらずうずくまるしかできない。
(誰か)
手を地面へと這わせる。何かに縋りつきたい。
(誰か来て……っ)
気づいて欲しい。ミモザの存在に。
涙で歪んだ視界に、転がるランチボックスがうつった。
守らなきゃ、漠然と思う。これを届けなければアントシアニンの効果いけない。だってあの人が待っている。
ミモザを無価値ではないと初めて言ってくれた人がお腹を空かせて待っている。
「レオン様……」
「え?」
異母兄の名前にアベルの手が思わずというように止まる。弾幕のように飛んできていた石が一瞬止まり、その隙にミモザは地面の石を掴んだ。
「な、なんだよ……」
そのまま手を振り上げたミモザに怯むようにアベルは後退る。
そのアベルを無視して背中を向けるとミモザは石を投げつけた。
前方に見える、家の窓へと向かって。
ガシャンッ、と派手な音と共にガラスが割れる。
「……なっ!」
「こらぁ!クソガキども!何してくれやがる!!」
家主の男は窓の割れた音に家の奥から姿を現し、状況を見て取って怒鳴った。
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